プリキュア創作4

□さあやとペギタンとニャトラン
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「うーん、これはどうしたものやら…」

マキ先生から出された課題でもあり、前に幼稚園にお仕事体験に行った時に困ったことでもあるんだけど
…っていうか多分一生悩まなきゃいけない、私達としてははなに関することでもあるから決して他人事ではないんだけど

小さい子供達のお世話をしている時に、いじめの現場を見てしまった時に指導者としてどんな対応をすればいいのか

のレポートをまとめるのに苦労してしまっていた。
特に子供の場合はまだ本能のままに生きていて物事の善悪が分からない、ってことでその場で分かってもらえること自体は出来るかもしれないけど

…いじめ問題は別に、小さい頃に限った話ではないのだ。出来たら子供の頃の体験からそれからずっとしない側の人間になってほしいという気持ちもある訳だけど。

…大人になっても悪い意味で子供のままでいる人もいれば
誰かより上の立場にいたいという闘争本能のままに生きる人もいる。
無論それそのものは悪いものではない、適度な競争は技術や文明の進歩に繋がる原動力だ。
…自分の住みやすい環境を作ろうと社会的な行動に出るのもひいては世の中を動かす人になるために必要な行動だ。
…何でもかんでも行き過ぎた正義感というのはよくないかもしれないけど、過ぎた規制と言うのもバランスを考えなければならない。
喜怒哀楽を持ってこそ人間だし、それを他人との距離感でどう発散するかを子供のうちから言いたくはないけど失敗して覚えさせることも大事だろう。
…これまでは子供側の私でいたけど、今度は監督者として、医者として…なれるか分からないけど親として子供と一緒に成長していかなければいかないだろう。
…まあ私の場合は、だけど。自分が周りと違う変な子だって割と早いうちに知れたから自分も他人も傷つかないうちに本音を隠して
怒りや哀しみはなれべく自分に向けるように
喜びや楽しいって気持ちは自分だけが分かればいいや。
って孤独でも良いから傷つかないような生き方をしようとはしていたけど。
…結局はな達と出会って、普通に友達付き合いができて
時には辛いこともあるけど一人よりもみんなで喜怒哀楽を分かち合うことが大切だと知れた。

…こんな不器用な私が、本当に子供達に対して教える立場になれるかどうかは分からない。
…けど医者である前にこれからも一人の人間として成長するためにも、マキ先生から出されたことの課題に一生向き合っていかなければいけないだろう。
…きっとマキ先生本人も未だに向き合い続けている課題だろうし、はなだって、多分ことりちゃんも薄々勘付いている素振りしてるし
プリキュアとしての私の戦いは一旦は終わったかもしれないけど、人々が発するそんなトゲパワワとの付き合い方を、これかもみんなで悩んで行かなければいけないことなんだろう。

「ってまあそれはともかくどうレポート書こうかな〜、また幼稚園にお仕事体験行ってリアルな園児さんと触れ合って学んだ方が良いのかな〜」

っとかなんとか思っていると、向こうの方からわちゃわちゃ騒がしくお喋りしている子供っぽい声が聞こえてきた。
…おお、ちょうど等身大のお子様の意見が聞きたいところだったのよ。知り合いだったらお話ししてみよかな〜

「いや〜、この間の土曜日も!の収録は大変だったニャ〜、ペギタン」
「ぺえ、ちょっとこの間の収録はグダちゃったぺえ」

ってニャトラン君とペギタンだった。確かに子供と言えば子供?ではあるけどさっきの例を突き抜けて本物の動物になっちゃったのは想定外だった。
…でもあの二人の関係も中々不思議よね。ペギタンって一見いじめられっ子に見えそうな子だけど、ニャトランには強気で出るのよね。ちょっとお話し聞いてみようかな。

「ほっまー、ニャトラン君、ペギタン、こんにちほまー」
「ぺえ、薬師寺さあやさんぺえ、こんにちはぺえ」
「にゃっほー、こにゃにゃちわだぜ!さあや姐さん!」

…何だか自分でもよく分からない挨拶しちゃったけど、ヒープリのみんなはやっぱり身近な妖精さんがいてくれて羨ましいな、って思う。

「この間の土曜日も!も見たよ。面白かったね〜」
「にゃあ、けど本来ならツッコミ役のペギタンまで星のかたぬきのこと知らなかったからボケの時間が長くてちょーーーっとテンポ悪かったかにゃ?」
「ぺえ、申し訳ないぺえ」
「しっかりしろよな!ペギタン!」

…っておお、たまにペギタンがニャトランにマウント取るみたいな関係に見えたけど、普通にしてるとやっぱりニャトラン君がペギタンをリードしてる形なのよね。不思議な関係だ。

「その、変なこと聞くけど。ヒーリングガーデンでも二人ともそんな関係だったの?」
「にゃ?どゆことにゃ?」
「さあやさんは僕達のこと気になるぺえ?」
「う、うん…そもそもヒーリングガーデンがどんなところも気になるし…」
「ヒーリングガーデンはティアティーヌ様が収める平和な国だぜ!本当ならおれっち達はまだ見習いでパートナーの人間と一緒にいないとビョーゲンズとは戦えないんだけど、戦いが激化したから元気なのおれっち達しかいなくなっちまったんだ」
「ぺえ、一人前のヒーリングアニマルなら、本当なら人間さんを危険な目に合わせないで一人で戦えるぺえよ」
「…そ、そうなのね」
そういえばそのティアティーヌ様ってラテちゃんのお母さんはプリキュアとパートナーにならなくてもキングビョーゲンと戦えるくらい強い、って言うしね。
「じゃあ二人とも、いつか一人前になったら一人で戦えるようになれるのかな」
「どうだろな〜、おれっちはおっちょこちょいだからまだまだひなたと一緒に成長しないといけねーかも。案外しっかりもののペギタンが先に一人前になるんじゃあねーの?いつもテレビ見て勉強してるし、いざとなったら行動力あるしな」
「…ぺえ、そんなことないぺえ。僕は臆病でいつもみんなやちゆに迷惑かけてるぺえ」
「いやいや、でもペギタンがしっかりしてくれないとこの間の土曜日も!みたいにおれっち達のトークぐだぐだになっちゃうからしっかりしてほしいにゃ!」
「…ニャトランこそ、実はちゃんと賢いのにいつも汚れ役やってくれて申し訳ないと思ってるぺえ」
「え、そうだったの?おれっちって汚れ役してたの?」
…って、あらあらまあまあ。
「…二人とも、端から見てたら凸凹コンビに見えて、案外お互いのいいこと分かり合ってるのね」
「にゃ?まあペギタンとは付き合いなげーし色々助けてもらってるしな」
「それは僕の台詞ぺえ。あと案外ラビリンも抜けてるところあるから、いい感じに三人がお互い出来ないことを補いあってる関係に見えるぺえ」
「あ!それ分かる!ラビリンってしっかりものに見えて割と天然っていうかお世話してるようでされてる感じ?のどかのお姉さんとして張り切ってないと全然ダメだしにゃ。あーいうの依存関係って言うんじゃないかにゃ。にゃふっふふふ…」
「ニャトラン…そんな言葉どこで知ったぺえ…」
…自分に出来ないことを、誰かと一緒に補う、か。
「うふふ」
「にゃ、何かおかしいことあったのか?さあや姐さん」
「…ううん、二人のお話し聞いてたら、私とはな、ほまれとの関係に似てるなあ、って思ってね」
「ぺえ、さあやさん達もそんな関係ぺえ?」
「うん」
私に出来ないことはあなたには出来ます。
あなたに出来ないことは私には出来ます。
私達が力を合わせれば、きっと素敵なことが出来るでしょう。

私達一人一人は得意なことも苦手なことも好きなことも嫌いなことも違っていて当然で
それがみんな同じになることがないからこそ喧嘩もするしどっちが正しいとか悪いとかの話になっちゃうこともあるかもしれないけど

「自分に出来なことを出来る人を、これからも尊敬し合える関係でいてね」
「にゃーん、何だかよくわかりゃにゃいけど了解にゃ!」
「僕もノリで了解ぺえ!」
「あ!ノリはおれっちの得意分野だぞ!ペギタン!」
「…たまには僕もニャトランの真似をしたいぺえ」
「ふふ、本当に仲良いよね、二人とも!」
「「いやそれほどでも(にゃ)(ぺえ)」」

…何だかまた、はなとほまれに会いたくなってきちゃったな。
…私も、自分のことを知る旅と、出来ることを増やすお勉強、これからもがんばらないとね。
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