プリキュア創作5

□ちゆとひなたとハシビロコウ
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「はあ…ハシビロコウさん…本当にかっこいいしかわいい…」
「ぺえ…ついにさん付けしてきたぺえ…」

またハシビロコウさんのいる区域まで折り返してきたので、私はもう一度あのかっこいい鳥、ハシビロコウさんのところに挨拶しにいった。のどか達が次の目的地を決めるまでは、しばらくまた彼を眺めていようと思う。
「はあ…でもほんと、見れば見るほど世界一かっこいい鳥よね…ハシビロコウさん…」
「…ぺえ…」
「それにかっこいいだけじゃなくて、よく見るとつぶらな瞳をしているし、ネットで調べてみると案外ドジなところもあって完璧じゃないところがまた母性本能をくすぐるのよね…大好き」
「ぺえ!僕はちゆをちゃんと守れるパートナーぺえよ!こんな顔だけのやつとは違うぺえ」
「…あら、どうしたの。ペギタン。急に当たり前のことを言い出して。大声を出したらハシビロコウ様がびっくりしちゃうじゃないの。ねえ、ハシビロコウ様」
「………」
「って結局動かないぺえ!どんだけ余裕綽々の構えをしとるやつぺえ!僕とラップバトルするぺえよ!っていうかちゆもいつの間にか様付けになってるぺえ!」
…はあ、それにしても本当に寡黙だしユーモアもある表情もしているし、ハシビロコウ、本当に私の理想の動物よね。けものフレンズでもハシビロコウちゃん好きだったけど、考えてみたらそれより前にこの鳥さんのことは知っていて惹かれていた気がする。
…どうしてだろう。話によるとこのハシビロコウがすこやかZOOに来たのって最近みたいなんだけど、もっと前に会っていたのかしら。
「おお、いた。おーい、ちゆちー!」
っと向こうの方からひなたがやってきた。次の行き先が決まったのかしらね。名残惜しいけどハシビロコウさんとはまたどこかで絶対会いたいな。
「ってちゆちー、相変わらずハシビロコウラブだよね」
「だってかあいいんだもーん!」
「はは、見たことないリアクションしてる…これはペギタンもジェラシー感じるよね」
「ぺえ…今のところ僕は眼中にもないぺえ…完敗ぺえ」
…何の話をしているのかは分からないけど。
「で、次はどの動物を見ることにしたの」
「ううん。のどかっちとも相談したけど、あんまりにもハシビロコウラブのちゆちーがかわいいから、もうちょっとだけここにいようって話になったよ。二人は今あっちでカルガモ見てるかな」
「え…でも私なんかのために予定ずらすのは…」
「いいっていいって。水族館の時のお礼かな。あの時はあたいの見たいお魚さん優先してもらってたし」
…ああ、そう言えば春くらいにそんなこともあったわよね。既に懐かしいと思える。なぜ高半年以上前のように感じるわね。

「それにちゆちー、昔子供会で別の動物園に行った時に、その時もハシビロコウのとこにずーっといたもんね。昔から大好きなんだね」
「…え、そんなことあったかしら!?」
…私ってほんと昔のことはよく覚えてなくて、ひなた経由で案外昔あったこと聞かされるのよね。
「…っていうかハシビロコウさんに会ったことあるのも驚きだけど、その子供会の時に私とひなたって面識あったかしら」
「…うーん、あたいもよくは覚えてないんだけど、何かハシビロコウとにらめっこしていたハシビロコウみたいな無表情の女の子いたなー、ってそこだけ妙に覚えてるのよ。あれ絶対ちゆちーでしょ。あたいもその時はおとうとおねえと一緒に動物園回ってたけど、ほんとそこだけは記憶が鮮明なのよね」
「…当の私が曖昧なのに…?」
…まあ子供のころの記憶って案外そんなものなのかもしれないわね。
「で、この子はクラッタリングとかしないの?」
「クラッタリング…何それ」
「えー!知らないの!っていうか当時のちゆちーが教えてくれたじゃん!私が迷子になった時にハシビロコウのところで一緒にじっとしてる時に教えてくれたでしょ?」
「???」
…いや、それ本格的に私なの?全然覚えてないんだけど。
「いやほら、あたいって昔からこんなんだから、当時もおとうの元から離れて暴走して迷子になってたところにこの恐竜みたいな鳥さんと出くわして本格的に泣いちゃうかと思ったんだけど」
「…うん」
「そこで当時のちゆちーにハシビロコウは本当は怖くないんだって教えてもらったんだ。クラッタリングって挨拶とか、人間にはお辞儀をして挨拶してくれるいい子とか」
その時あたい、人は見かけによらない。ちゃんと知れば仲良くできるんだってことを。
「子供ながら学んだ記憶あるなー」
「…人は見かけによらないっていうか、鳥だけどね」
…にしてもそれって本当に私なんだろうか。我ながらうっすらとしか覚えてなさすぎる。
「あ、見てちゆちー、飼育員さんが餌もってきたよ。ハシビロコウさんにあげるのかな?」
「そうかもね…ってあ…」
飼育員さんが来たのを確認した途端、これまでじっとしていたハシビロコウさんはくちばしを空に高く掲げて

かっかっかかかっかっかっかーーーーー!

っと振動させて大きな音を鳴らした。

「ぺ!ぺえええ!怖いペえ!ハシビロコウさん!ついに怒ったぺえ!そんな顔してるぺえ!ラップバトルしたいとか言ってごめんなさいぺえ!」

「「いやいやいや」」

っと。私もこの音を聞いて思い出した。多分ひなたも記憶が鮮明になって説明しようとしてくれたのでペギタンへの説明が被ってしまった。

「これがハシビロコウ流の挨拶よ、ペギタン。餌を持ってきた飼育員さんにしてるのね。かわいい。」
「うん。大きいくちばしを振動させて音を出すのはハシビロコウが喜んでる証拠なんだよ。威嚇とかじゃないんだって…って昔のちゆちーが…って」
そう、確かに昔こんなシチュエーションあった気がしたのは思い出した。
今度はお互い面識があって、友達同士、でね。
「…改めてだけど、これからもよろしくね、ひなた」
「うんうん、こちらこそだよ、ちゆちー」
ハシビロコウさんと一緒に今度は三人でお辞儀しあった。
…前に子供会で行った動物園にも、みんなで行ってみたいな。
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