プリキュア創作5

□すこ中モブと丸山先生
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すこやか中学に転校してから早いことでもう半年。私は前の学校であった自分の弱さからのミスを今度こそはしまいと、新しい学校生活デビューは成功したものだと油断してしまっていたんだろう。
…はあ、私って人間は。
何でちょっとはマシになれたかな、ってタイミングでいつもこれまでの頑張りをダメにしてしまうんだろう。

「根の詰めすぎだな、○○。少し休憩した方がいいな。休息も大事な練習の一環だぞ」
「…はい、ごめんなさい、丸山先生」
「おいおい俺に謝られても困るよ、誰も悪くないんだからさ」

係りのプリントを職員室に提出しにいったところで私はつい近況を聞かれたので顧問でも保健室の先生でもないのに担任の丸山先生に話してしまってまた困らせてしまったようだ。
…やだな、これじゃ本格的にかまってちゃんじゃん…ほんと自己嫌悪。

「…でも怪我はもちろんよくないが、お前が転校してきて半年間、頑張って周りに溶け込もうと努力していたり、部活で結果を出そうと一生懸命していたことは皆にも伝わっているから、そうやって自分を悪者にして責めるのはよしなさい。誰もお前のことを悪く言わないよ、この学校ではな」
…丸山先生が私の前の学校のことをどこまで知っているのかは分からない。もしかして親がこっそり言っていたのかもしれないし
…この先生、普通にいい人だから察してくれたのかもしれない。
私の性格の悪いところ、ベテランの教師の先生からしてみれば中学生によくある癇癪みたいなものかもしれないし。
「…そう、ですよね。吹奏楽の金森さんだってこの間病み上がりで無理しようとしてたの、菅原君に見抜かれてたし…やっぱり焦って何かをするのってよくないですよね」
「…まあこれを言うのは一生懸命やっている学生に言うのは失礼なのかもしれないが…」
キイ、っと椅子を軋ませて丸山先生は姿勢を正して言ってくれる。
「学校はあくまで教育の現場だ。結果を出すのももちろん大切だが、失敗から何かを学んだり、次からは何を気を付けてどう自己管理や周りとのコミュニティを作っていくのか。色んな人間がこの世にはいて、どんな距離感で接して仕事を分担したり、自分にできること知っていくのか、それは学校が終わった後でも永遠に続いていく。先生だってそうだ。むしろ学生のうちに、助けてくれる大人や怪我の治りが早い時期に君は沢山失敗しなさい。重なるけど、したくない失敗をして怒るような大人は、この学校にはいないと自負はしてるぞ」
「…はい」
私は自分の腕をさする。
…そうだよね、前はこの腕、他人の悪意でわざとされてこうなっちゃったけど。
今回は完全な事故で、自分の責任でこうなったんだ。
言葉は変かもしれないけど、怪我の意味が違っているだけでも私は成長できているのかもしれない。
「…丸山先生に相談できてよかったです」
「…あれ、今ので相談になってたかな。説教臭くなかったかな?」
…本当に自然と言っちゃってたのかな、この人。
…先生って立場もあるんだろうけど、尊敬できる大人だな、丸山先生。
少なくともこの人に恥じない人間に、今度こそなりたいな。
「とりあえず今は休息だな。普通に歩く分なら問題ないよな」
「はい」
「…それじゃあアニマルセラピーって訳じゃないけど、この間息子がクーポン券くれて余ったから今度の休日、よかったらここでゆっくり散歩でもしてみたらどうだ?強制はしないけど」
っと丸山先生は机の上に置いてあった地域が発行しただろう割引券を出してきた。
「あ…すこやかZOOですか。一回行ってみたかったんですよね。確かに本格的な動物園過ぎてちょっと高いなとは思ってました。嬉しいです」
私は片方の手でそれを受け取って年甲斐もなくわくわくしてしまう。わあ、楽しみ。ハシビロコウって一回実物見てみたかったんだよねえ。
「…でも最近まだあの怪物騒ぎも続いているみたいだし、それだけは用心してくれよな。先生が動物園に案内したから襲われたとかじゃ心配だ」
「…まあそれこそ先生のせいじゃないですから気にされないでください」
「…そうか…日曜か土曜かはまだ分からないけど、俺も今週は息子とすこZOOに遊びにいくから、怪物現れたら助けにいくからな」
…まあ丸山先生がいるから怪物を倒せるって訳じゃないけど
…あれも私が転校してきて間もないころだろうか。ガラスの美術館で怪物騒ぎがあった時に、はぐれてしまった花寺さん達を探すために、一生懸命走っていた丸山先生の姿を改めて思い出す。
逃げ遅れているかもしれないから、俺は残って助けてくる!
…もし動物園で怪物が出ても、この先生ならまたそう言って色んな人を助けて回るんだろうな。
「…丸山先生がいるかと思うなら、安心して動物園に行けますね」
「…っと言っても俺がどうにかできるわけじゃないんだけどな!あっはっは」
…まあそうなんだけど、気持ち的に、ですね。
…私もいつか、こんな大人になれるように、今は精一杯中学生しようかな。
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