プリキュア創作5

□薬師寺先生とれほちゃんの再会
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「あ、もしかしてこの間お店で会ったお姉さんですか?ちわー」
「ほ!ほま!れほちゃん!?」
「…さあや先生?どうしたの?知り合い?」

久々に日本に帰ってきたほまれと束の間の時間をショッピングで楽しんでいる最中に、不意な再会に私はフリーズしてしまった。
れほちゃん。
中学生くらいの時、まだやさぐれていた頃のほまれがそのまま大学生になったようなけだるげで整った顔立ちのアウトローな女の子。
…っとは言っても本名ではないんだろうけど、なんてったってこの子と出会ったのは…

「あ、そちらの方がこの間お店で言ってた彼女さんですか。うわー、全然私に似てないじゃないですか…あれ、でもこの人ってどっかで見たことあるような…?」
「…さあや先生、久々に会った知り合いなら私ちょっと席外そうか?っていうかお店で会ったって…?病院とかじゃなくて?」
「…病院…そう言えば先生って呼ばれているみたいだし、お姉さんもしかして…」
「ああああああああ!ごめんほまれ!この補填はいつか絶対するから!れ!れれれれのれほちゃん!!!ちょっとだけお話しようか!?」

っとほまれかられほちゃんを引き離して私たちは適当な公園のベンチまで行った。
…正直に言うとほまれとのデート中、ばったり出会ってしまった元患者さんと出会ってしまうというシチュエーション自体なくはない。
お子さんと幸せそうにしてくれている人。トラブルがまだ続いている子、引き続き治療の延長線上や人間関係の相談が続いている子。
…この仕事について色んな人やケースと触れ合っていって私の中の価値観も変わっていくと同時に、今ほまれと幸せに暮らせていることのより噛みしめてていて
ほまれも私の職業のこと、よく理解してくれているから街でばったり他の患者さんと出会ってしまった時は気を遣ってくれて個人のプライバシーを優先して離れてくれているような日々は送っていた。
…そのことはとってもありがたいと思うし、私も好きになった人を間違えなかったっていう改めての自負を得られて幸せなんだけど…
この子に関しては、私の仕事とは関係なく趣味の領域の子で
…その、今結婚を前提にお付き合いしているほまれにとっては私個人というパーソナルは本当は不誠実極まりない人間であることがばれてしまう根幹たる人物だった。
仕事を体裁にしてごまかしてはしまったけど、れほちゃんとのかつての関係がバレたら私の公私はぼろぼろに崩れてしまうだろう。

「ごめん!れほちゃん!彼女には私がムラムラした時はレズ風俗に通っているってこと!秘密にしてるの!本当にごめんなさい!!!」
「ああ、いえ。私もちょっと仕事とプライベート混同しちゃっててプロ失格でしたね。仕事で会ったクライアントに失礼な接触しちゃいましたね。普通は本命の彼女には秘密にしてるようなことですし」
…っとれほちゃんも謝ってはくれる。言うて風俗のプロ側からしても自身のポリシーをつい曲げるような顧客への介入だったようである。
…そうは言ってもこの子、まだ学生さんだろうしそこらへんのプロ意識は私の立場からは責められないんだろうなあ…

「…普段は絶対にしないんだけど…何でだろう。私もお姉さんを久々に見たら何かはなしかけたくなっちゃって」
「…そのこと自体は私も嬉しかった…可愛いくていい子だったって印象しかなかったから、できればああいうお金が発生してお話する以外の場所でも友人としてもっと知りたいとは思ってたのよ」
「おお、お世辞はよく言われますけどそこまで言われると私も嬉しいですね…でも」

…っていうか私の隣の人を見て、れほちゃんも察することができなかっただろうか。
…それともわざと?そういうことするような子には見えないから、もしかして

「…でもさすがに本命の彼女さんがいる時に声をかけちゃうなんて、普通に人として失礼なことしてましたね。申し訳ありませんでした。この会話もすぐに終わらせて彼女さんのところに戻ってあげてください。デート、楽しそうでしたもんね」
そうやってスッと立ち上がってれほちゃんは立ち去ろうとする。
「私も先生とは普通に仲良くなりたかったからつい信条を曲げて話しかけてしまったけど、私の立場からじゃそんなの許されないですよね。彼女さんとトラブルになりそうだったら呼んでください。ならべく先生の尊厳を守れるように弁護しますから、じゃ」
「…私も」

立ち去るれほちゃんの腕を掴む権利、私にはないと思えた。
だから今度も手を出せなかったけど、言葉だけで彼女は足を止めていてくれた。

「性欲発散とか身体の相性云々抜きにしても、あなたとはお友達になりたいと思ってたのは事実だから。お互い特殊な立場の人間だからたまにこうして表の仮面と混同しちゃうようなことあるけど…分別つく形で継続可能なら仲良くしていきたいと思ってるのよ」
「…はは、にしてもまさか産婦人科の先生だとは思ってませんでしたよ。彼女さんがいるのもそうなんですけど、その、私が言っていいのかは分からないですけど産婦人科の先生もムラムラしたら風俗行くんですね」
「…そこは…仕事と性欲分けている…つもりだから…」

…でも職業柄、そこらへんの世界で苦労している子の面倒をまほさん経由でも担当することあるから、決して軽い気持ちで私も足を踏み込んでいる訳でもない。
ほまれのことを愛しているのも勿論だし
医者として新しく生まれてくる命に真意でありたい。
だからこそ、って訳じゃないけど、私も私の性欲管理を真剣でいたいんだ。

…ってまだほまれにはそこまで心を打ち明けられてなくて、いつかはパートナーとしてしたいとは思っているんだけど。

…先に、心の整理をしなきゃいけないのはどうやられほちゃんが先だったようである。

「…産婦人科の先生なら、もしかして私の同僚もお世話になっている子いたりして…まさかそっちわ側の先生と普通にお客として出会うなんて思いもしませんでしたけどね。まあ先生には先生の苦労もあると思いますから想像に留めておきますけど」
「…そうね、私もだけど…それ以上に」
「…やっぱりそんなに似てます?今の彼女さんの昔の姿に、私」
「…うん、だから放っておけなかったの」
…それこそ私がまだ駆け出しのころくらいに、れほちゃんくらいの子を救えなかった苦い経験がトラウマになっていたから、余計に、なんだけど。
でもだからと言って私のその経験をれほちゃんやましてはほまれに迷惑かける形で引きづっていたのは私のせいでもある。ここでしっかり決別しておかないと。

「…私もですよ、その…薬師寺先生」
「…え?」
「…私もさ、昔やさぐれていたころに、学校に戻ってくるように色々めんどうみてくれたクラスの委員長みたいな子がいて、仲良くなりたかったんですけど今みたいに素直になれなかったから、結局一回も話せないまま卒業しちゃったことあるんすよ。その、薬師寺先生はなんとなく、その子に雰囲気似てたから、勝手に私の当時の理想を押し付けてたところ、正直ありますね」
…私が不良だったころのほまれと助けられなかった患者さんとれほちゃんを投影していたように
…れほちゃんも、彼女の中の思い出の人と私を、重ねていたんだ。
仕事のプライドを、つい曲げてしまうくらいに。

「…その子とはその後も会えた?」
「…ううん、結局あとでこっそりキュアスタとか見てみると、何か彼氏いるノンケっぽかったから怖くてそれ以来です」
「oh…」
それは辛い思いをしたようで。
ハグしてあげたいけど、何だかそれをしたら料金発生してしまいそうで今はまだしちゃダメだと思えた(ふざけていい場面じゃないんだけど)
この子とは、色んなしがらみをなしにしても知りたい、って思える子だから。

「あ、その子が普通に産婦人科に訪れた時はよろしくしてあげてください。友達になれなかった私が言うのも変だけど」
「…うん、私が担当することになったら全力を尽くすことを約束します」
「…はは、やっぱり変ですよね、私の立場からこんなこと言うなんて」
「…変じゃないよ。どんな仕事をしていても、れほちゃんはれほちゃんだから」

…私がそういうお店に行っちゃうように、って。
言ってしまうと冗談っぽく聞こえてしまうかもしれないけど

「…申し訳ないですけど、やっぱり無理してでも薬師寺先生に声かけて、こんなお話できてよかったですね」

不良の頃のほまれとも、お店で出会った女の子でもなく
れほちゃんはれほちゃんらしい笑顔をする。

…ほまれへの想いを変えるつもりは毛頭ないけど。

出会う順番違っていたら、好きになってしまいそうな可愛らしい笑顔だった。

「私でよかったら、その子の代わりだったり色んな相談に乗るからこれからも仲良くしてほしいな」
「あ、じゃあ今度は私がムラムラしたらお世話になってもいいですか、先生。お金抜きで」
「そこはまだ考えさせて!」

結局お店でもびびっちゃって行為まで出来なかったもんね!私!

…はあ…やっぱり当時のほまれに似てる子を汚すことはまだ私にはできない領域なんだろうな。。。
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