プリキュア創作6

□あすかとみのりの放課後
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「うっほーい!誤字を直した部活の申請書!書き直せましたよー!もっかい生徒会に提出してきますねー!」
「いってらー」
 ・・・って結局良い感じにまとまったと思ったけど誤字でもう一回提出だったんかい。
 ・・・まあまなつらしいちゃらしいんだけど。
「・・・はあ、この部活どうなることやら」
「・・・っていうかあすか先輩・・・いや、部長」
 っとなんやかんや部活動を楽しんでいたみのりがちょこんと座って読書をしながら私に話しかけてきた。
「・・・部長呼びはやめてくれよ。ほんと文字通り名ばかり部長だし」
「・・・まあそうですよね。普通部活の申請書出しにいくの、部長の仕事ですもんね。生徒会との交渉とかも普通は責任者がやるし」
 ・・・うーん、だよねえ。私もなんとなくそこは筋だからやった方がいいのかなー、っとは思いつつも生徒会室にいきたくないし。っていうかあいつに会いたくない。
「でも一年に部長やらせる訳にもいかないしなー、そこは一応年長のプライドみたいなつまらないの発動してしまったのかもしれない。いやほんと何にもしてないけどな」
「・・・っていうかその理屈で言ったら部長をやるのは本当なら二年の私でもいいんですよね。三年の先輩はすぐに引退しなきゃいけないかもだし」
 っとみのりは言ってくれる。こう言っちゃなんだけど、少し話してて分かったけどこの子は案外気を回せる子だ。あのボケしかいない人間の空間の中ではなんやかんや言いつつ理性的な案を出してはくれるからな。ツッコミ役・・・っとはまたちょっと違うかもしれないけど話の進行にはかかせない存在ではあるだろう、みのり。
 ・・・だとしても
「・・・良いよ。みのりはそういうキャラじゃないもんな。それこそやらしたら私の良心のかしゃくって奴が痛いよ」
「・・・そう、ですか」
 っとちょっとしゅんとしてるみのり。あれ、もしかして
「部長、本当はやりたかったとか?」
「いえ、やりたくはないんですけど。何をしていいのか分からないし」
「だよね、いや今の私もそうなんだけど」
 ・・・それでも私らしくないこと言っちゃったかな。みのりの見た目で何だか決めつけるようなことを言ってしまって
「・・・まなつに誘われてなあなあで初めてしまった部活ですけど、前の文芸部と立ち位置そんなに変わってなくて自分って成長してないなってちょっと自己嫌悪、ですかね。先輩の善意にも、後輩のやる気にも申し訳ないって思ってますよ」
 ・・・まあこの子が前の部活で何をしていたのか知らない私はどうコメントすればいいのか困る。っていうかまなつ達とは入学してきて出会ったんだけど、みのりとは一年同じ学校にいたというのにこのトロピカル部とプリキュアにならなかったら多分残りの学生生活も話はしなかったんだろうなって思うと不思議な気持ちである。
 ・・・まあこれも何かの縁ってやつで
「・・・変わってない、ってことはないんじゃないかな。少なくとも私とこうして出会って同じ部活にいるってこと、かなり珍しいことじゃない?それはよーはわからないけどみのりが変わって、他人と関わろうとしたことで得た変化ってやつじゃない?」
「・・・そう、ですかね。そういうあすか先輩は、そう言えば聞かなかったんですけど」
「・・・ん?私?」
 あー、そう言えばみのりの話ばかりしてイーブンではなかったかな。私はこのトロビカル部に入れて・・・入れて・・・
「・・・何か変わったこと、あるかな?」
「ありますよ。私もその、元々あすか先輩のこと、詳しい訳じゃないですけど、多少は噂になってたんですよ。前の部活のこと」
 ・・・げ、自分でイーブンじゃないって言いつつも前の部活のことを探られるの、確かにちょっと嫌な気持ちになったな。
 ・・・っていうかみのりの耳にも届くくらい、有名な話だったのかな。バトミントン部での、あいつとの出来事。
 私もこの話の展開、どうしたものやらと収集に困ってしまってけど、みのりはまた視線を本に戻して会話を遮断してくれる。
「・・・何か、この話やめましょうか。すみません、あすか先輩、空気読めないこと言ってしまって」
 ・・・いや、今めっちゃ読んでくれたからいいんだけどね。みのりが読んでるのは本なんだけど。
「・・・だから本当は私が部長をやって、生徒会長とあすか先輩が会ってしまうかもしれない機会、減らした方が良かったのかもしれないのにですね」
「・・・ん?」
 ・・・あ、そういう意味で部長やりたがってたのかな?っていうかどこまで知ってるのかな?私とあいつの関係?そもそも学校内でどんだけ噂になってるの?うーん、気になる、気になるけど。
「おお・・・すごい話の構成・・・これは勉強になる・・・」
 ・・・私が気にしている以上にみのりはすっかり読書に夢中になっていた。
「・・・まあ、私もこの部活だから部長をやっても良いって思えたのかもしれないな。なんやかんや、困っているやつがいたらほっとけないし」
 ・・・前のバトミントン部での事件も、この中途半端な正義感のおかげでいれなくなってはしまったけど、ここでは適当にしていても大丈夫。
 それが私がほんの少しでも前に進めた証拠なのかな。塞ぎ込んでもう二度と前に進めないとは思っていたけど、時間が経ってまた人間関係を構築するくらいには、いつの間にか回復していたのかもしれない。
 今やるべきことを全力で取り組む。
 あのOBの先輩たちみたいな、キラキラした青春を送る。
 ・・・あいつみたいに、バトミントンより他に大事なことが出来る。
 そういった他の人の『今やるべきこと』と自分の状況を比べて嫌になることもあったけど、今の私のやるべきことは、ここで部長をしてゆっくりとでも良いからまた他人と関わって傷の回復や少しはしている成長を確かめることなのかもしれない。
 それを気づかせてくれたまなつ、ローラ、さんご。そして
「・・・ありがとな、みのり。少し話してくれて」
「・・・いえ?私はほんと、何もしてませんけど」
「・・・今はその距離感がありがたい」
「?」
 まあ少しの間かもしれないけど、トロピカル部の部長、がんばらせていただきますかね。
 ・・・まあ何をすればいいのか相変わらず分からない部活なんだけど
「とりあえず『なかよしうさうさ村』のうさことの今日のイベントでも消化してるかな」
「学校でゲームは駄目です!部長!」
「はい!ごもっともです!」
 ・・・やっぱり私が部長で、大丈夫かな?
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