プリキュア創作7

□まなつとローラの反省会
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「もうまなつのバカバカ!結局大丈夫じゃないじゃなーい!」
「なはは、ごめんごめんローラ。くるるんを助けてたらつい、ね」
 …まあ私もくるるんを学校に置いてきたのをすっかり忘れていたうちの一人だからまなつがピンチになった一旦を作ってしまったと言えばそうなるのかしらね。
「まあ助かったんだし、結局みんなのやる気パワーのおかげで私は変身し直すことが出来たんだからいいじゃーん」
「うーん、このノリがいつまで続くのやら」
 …って前もこんなことあったわよね、いつだったかしら。
「…前もまなつ、やる気パワー奪われてたけど復活してたわよね」
「ああ、あれは小学校一年生くらいの時かな…」
「あれ!?そんな前だっけ!?」
 いや私は一学期くらいのことを言ったつもりなんだけど!?あの時もあなたヤラネーダーにやられてたじゃない。それ以外でやる気パワーを奪われるようなことあったかしら。
 …あ、そう言えば南乃島でまなつのお父さんからそれとなく昔も落ち込んだことあったとかのお話聞かされた覚えがあるわね。その時からあとまわしの魔女の活動ってしてたかしら。それとも…
「私ね、小学校一年生くらいの時に島に遊びに来てくれた子と友達になれなくて後悔したことがあったんだ」
 …そう、まなつのお父さんから聞かされた。まなつが『今やるべきこと』にこだわっている、根幹の記憶。ヤラネーダーにやる気を奪われるよりも辛い思い出だった『友達になれなかったことの後悔』。
「私ね、これでも小さい頃は引っ込み事案だった時もあったんだよ」
「うわー、全然想像できねー」
「でしょ。でも島に遊びに来てくれた子って基本その年の旅行で訪れてくれる一期一会の出会で、友達になってもすぐにお別れしなきゃいけないからどーせお別れっていう悲しい思い出をするくらいなら最初から友達にならなきゃ良かったって思ってた時期も私にはあったんだよ」
「そ、そうなんだ」
 …これは確かに島暮らしをしていたまなつだからこそ言える感覚なのかもしれないわね。
「…でもやっぱりすっごい後悔した。どーしてあの時一言『友達になろうよ』『お名前聞かせて』が言えなかったんだろうって。結局自分が傷つくよりも勇気を出すのをあとまわしにする方がずっと怖いってその時思っちゃったんだよね。その時ね、お父さんが言ってくれたの」

 どんな人にもお別れは来る。
 それは島暮らししている環境だけじゃなくて、都会に住んでても学校や働く環境で出会う人達との縁は基本的には『今しかできないことに溢れてる』。
 だからいつかくる悲しい思いにおびえるよりも、今やるべきだと思ったことをやれ。

「これが私のトロピカる精神、かな」

 まなつは本当に苦しいことを知っている。だからヤラネーダーにパワーを奪われてもその時の悔しさに比べたらこんなん屁じゃないわー!って跳ね返せるのかもしれないわね。

「…もしかしてだけど、私と友達になったのもその時の後悔があったから?」
「まあ巡り巡って言えばそうなのかもしれないねー、もう昔の私みたいにならないようにしよー!って思って友達になりたい子がいたら自分から声をかけるようにしたんだ。ローラ良い子だし」
「ふふ、まあそれほどでもあるんだけど。さあ、もっと褒めなさい!」

 っていつもならそこで気分よくなって終わりなんだけど、今日は少しだけいじわるしたいと思えてしまった。
 もしまなつが昔落ち込んでた時のままの性格のままだったらどうなってたのか、その『もしも』が気になってしまったのだ。

「…もしまなつが元の性格だったら、じゃあ私とは友達にならなかったってこと?」
「うーん、どうだろう。友達になりたいなー、って気持ち自体は同じだったと思うよ。ただ声をかけられないで終わった可能性はあるよね。そしたらまたずっと勇気を出すのをあとまわしにしていたことをずっと後悔する大人になっていたと…あ!ぴかっとひらめいた!」
「何よ!急に他のプリキュアみたいなこと言って!」
「あの伝説のプリキュアさん…もしかして」

 友達を助けたかったのかな。

 何て、それこそまなつらしくない汐らしい表情になってどこか宙を見上げる。

「伝説のプリキュアの友達って誰?」
「さあわかんない。でも私が『もしこんな大人になったら』の想像力を持っているからよく夢に出てきてくれたり、助けにきてくれるのかもしれないね。きっと伝説のプリキュアさんと私って、ちょっと似てるとこあるんだよ」
 だからシンパシーを感じて助けにきてくれる、もしくは…
「伝説のプリキュアは、違う世界のまなつだったりしてね」
「えー?そうかな。それこそローラの別の未来の姿もあとまわしの魔女だったりして」
「んな訳ないわよ!私があんなのになる訳ないでしょ!」
「私だって、あんまり伝説のプリキュア〜、って感じしないでしょ。仮に伝説の存在になったとしても回りくどいことしないで普通に助けにくると思うし」
「ふむ…それもそうね…」
 それじゃあ伝説のプリキュアは未来のまなつ説はなしってことで。あ、あとまわしの魔女私説もなしだからね!
「結局よくわからないままだった気がする」
「そうね」
「あ!!!」
「どうしたの!?」
「部室に置いてきたトロピカるメロンパン!無事かな!そろそろ賞味期限が近かった気がする!くるるんより忘れてた!」
「逆にくるるんの方を先に覚えてて私としては嬉しいわね!でもやべーじゃん!!今しか食べれないってこと!」
「早く部室に行こう!ローラ!」
「オーライ!」

 私とまなつが友達にならなかったらどうなってたのか。
 結局今もくだらないことで盛り上がれる私達なんだし、そんな未来全然想像できないわね。

『私達とは違った未来を描いて下さいね、今のプリキュア』

「?」

 ふと、どこから声が聞こえたきがした。

「どーしたの?ローラ?」
「ううん、多分気のせい」
「木の精?」
「気のせい」

とりあえず私達のトロピカる毎日は、まだまだ続いていく。
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