プリキュア創作7

□まなつにお礼を言いに来た百合子
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「わーい!部費が10%増えたぞー!これでほしかったメイク道具、あすか先輩に言ったら買ってくれるかなー!ありがとー!一条生徒会長―!」
 ってローラには悪いんだけど一条生徒会長の新体制の学校になってからとりあえず公約通りの良いことが起きてくれる学校になった。やっぱり公約はちゃんと守る選挙をしないとね!ラブライブ!スパースターでもやってたし!
「とりあえず部費が増えて嬉しいの舞でもしょうかな。部費~部費!部費!イエイ!」
「…全く、ブヒブヒと可愛い豚ちゃんですね、トロピカる部は相変わらずのようで」
 っとバルコニーで踊っている私に向かってカツカツと足音を立てて近づいてくるあの人は。
「ゲっーーーーー!せーとかいちょー!いや!これは違うんですよ!決してふざけてたわけじゃなくてその!今度踊る体育の授業のダンスの練習部費!トロピカる部は関係ないです!廃部にしないで!」
 …って。
「あれ、今のせーとかいちょうってもうせーとかいちょうじゃないから何て呼べば良いんだろう」
「自分で突っ込みましたか。ついでに言うともう廃部にしろとか言ってもそんな権限ないんですけどね。まあ元々一生徒会長が一つの部活を潰すとか、そんなアニメの世界みたいなことはできないんですけど」
 っとは言え相変わらず気品のある生徒会長、もとい白鳥百合子さんはちょこんと私の隣のベンチに座る。
「うーん、何だかむずむずしますね。えっと…前生徒会長…あ!ゼンゼン生徒会長って言えば良いんだ!」
「良くないですよ、前生徒会長で合ってたのに何でもう一個飛ばすんですか」
「ああ、ついヤラネーダー風に」
 …って今のヤラネーダーもゼンゼンじゃないんだよね。種類増えてきてめんどくさくなってきたな。
「もう超生徒会長に怒られないと思うと、何か寂しいですね。なんやかんや緊張感があって楽しかったんですけど」
「超って何かスーパーサイヤ人みたいですね…まあいいでしょう。私もあなたにお礼を言いにきたんですよ、夏海さん」
 っと怒らないだけじゃなくて、白鳥百合子さんは立ち上がって私にお礼を言い出してきた。
「…あなた…あなた達のトロピカる部のおかげで私の任期の最後の半年は、とても楽しい学校になれたと思います。次の一条新生と会長にも引き継いでおきましたよ。これからはトロピカる部と更に連携して楽しい学校を作って下さいと」
 あ、あの白鳥百合子さんが…
「お礼を言ってるー!?えー!何で!トロピカる部を潰そうとしてた悪役だったのに!」
 何か10月下旬くらいから雪降りそうですね!
「…悪役…とまでは言い過ぎじゃないでしょうか。確かにことあるごとに潰そうとした瞬間瞬間はありましたけど、基本活動は認めてたじゃないですか。桜川先生や全校生徒からの評判も良かったんですよ」
「でもクイズ番組の時は…」
「その時はその時、今しなくてはいけないことを私もしてただけです」
 お、白鳥百合子さんも案外話せば分かってくれる人っぽいぞ!
 …そうか、もう生徒会長じゃないからどう接すればいいのか今は分からないけど
 普通の先輩としても接してもいいのかな。
「私はトロピカる部には助けられてたところもあったんですよ。私の時代ではあまりできなかったレクレーションや地域の活動。天文部の時は校長先生とかけあって街の人達の協力も得てイベントを開催するという素晴らしい体験もしたじゃないですか。本来そういう楽しい学園生活作りは生徒会がするものですよ。私はですね、夏海さん」
 いずれトロピカる部が主役で学校を運営する日。
 そんな日が来るんじゃないかって思ってるんです。
「だから今はお礼参りも兼ねて、更に来年の引き継ぎも兼ねてあなたに会いにきました。これからの新しい学校、よろしくお願いしますね」
「百合りん先輩…」
「みのりん先輩みたいに言わないで下さい。そこは急に距離は詰めてこないで少しは段階を踏んで」
「ああ、すみません…」
 ってトロピカる部を認めてくれたのは嬉しいんだけど…
「じゃあ何で生徒会長はローラを応援しなかったんですか、トロピカる部が今後学校の主役になるのならローラを生徒会長にすればよかったのでは?」
「いや、あの方、とりあえず今はちやほやされたかっただけじゃないですか」
 ありゃりゃ、見透かされてたってことですか。
「あと一条さんの方が引き継ぎやすいし」
「そこは打算なんですね」
「それにいくら認めているとは言えまださすがに早熟ですね。さっきも言ったように仮にトロピカる部が学校の主役になるにはもう100年早いとは言いませんが1年早いですね。あなたも今みたいにちょっと年上の人とのやりとりが急になれなれしいところもあったり、あ、私はそういうとこ嫌いじゃないんでいいんですけど、中には気にする人もいるでしょう。ローラさんも今年は失敗こそしましたが正しく学んでいるようで、来年立候補すればきっとよりよい生徒会長になれるでしょう。その時は副会長は夏海さん、あなただと私は思ってます」
「えー!私が副せーとかいちょう!?うっそーん!」
 私はどっちかっていうろ『せーとかいちょー!』って叫んでいる方が様に…サマーになってると思うんだけど…
「ま、来年のことは分かりませんからね。そもそも私達はいないですし」
「…そっか、あすか先輩だけじゃなくて、来年は百合子先輩もいなくなっちゃうんですか…どこに行くんです…もしかして死んじゃうとか…」
「死にはしませんよ、中学から先の未来は死なんですかあなたは全く…普通に受験ですね。修学旅行が終わったら私も進路に集中しないといけないですね」
「進路かー、私なんて今やるべきこと!しかやってないし、数年先の未来のことなんか分かりませんね」
「…今は、それでいいんじゃないでしょうか」
 百合子会長は空を見る。頭の良さそうな人だからこの人はずっと先のことを考えているんだろうな。それとも意外と過去のことを思ってたりして。
 …そう言えば百合子会長の過去って…
「変に聡いフリをして年相応な経験ができないと後々後悔しますからね。遊べる時期は遊ぶ、友達と一緒の時間を過ごせる時は過ごす…進路の為に部活動を犠牲にしてやるような生徒会に、あなたはしてほしくない」
「百合子先輩…やっぱり昔のことを後悔…」
「…そうですね、そろそろ誰かしらから話を聞いてるんじゃないかって思ってました。一応有名っぽかったですからね、私達」
「…あ、言いたくなかったら無理に言わなくても良いんですけど」
「あら、配慮ですか。しかし意外と優しいところもあるのも、私は評価してるんですよ」
「いや…前にみのりん先輩の部活のことを無理に聞こうとしちゃいそうになって反省はしてるんですけどね」
「…でも私達の場合は本当にもう過ぎ去った過去の話です。気にしないで下さい。あなたは今を大切に」
 自分のできなかったことを託す、先輩と後輩の関係ってこういうものなのかもしれないね。
 でも
「言うて百合子先輩もまだまだ中学三年生なんですから、自分のやりたいことやってもいいんですよ!」
「…そうですね、遅くはないでしょうか」
「ないない!トロピカった余生を過ごしましょう!」
「余生言わないで下さい…まったく…でも」
 あなたと話していると、今が楽しい。
「あと半年、あすか共々よろしくおねがいしますね」
「はい!前せーとかいちょー!」
「…結局その呼び名に戻るんですね」
 …やっぱりこっちの方が呼びやすいしね!
 あと残り半年、あすか先輩と前生徒会長の関係ってどうなっていくんだろう…
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