プリキュア創作7

□角田の反省
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「はあ…生徒会選挙…惨敗だったわね…」
 …でも今にして思えば一条さんやローラさんと比べたら、つまらない候補者に見えたのかしらね、私って。
 一条さんは前生徒会長の白鳥先輩に信頼しれている人だし、ローラさんは未熟なところはあったけどあのノートに書かれているみたいに未熟だからこそ誰も見たことないようなキラキラした発想でみんなを引っ張っていける人だと思う。ローラさんはまだ一年生だし、色んな経験を積んだらもっと魅力的な指導者になってくれるだろう。
 …それに比べて、私は。
「…いやー、角田さんだけは生徒会長になってほしくなかったよねー」
「そだよねー、ぶっちゃけ今年の生徒会長選挙はちょっと消去法なところあったよねー。ローラさんは派手だけど公約がめちゃめちゃで、角田さんはなんだか窮屈な学校になっちゃいそうだよねー」
「…!」
 廊下を歩いていると次の曲がり角の影からそんなことを話す生徒達の声が聞こえる。いけない…こういう話は聞かない方がいいと思いつつも今私が思っていることを代弁してくれているみたいで心に残ってしまった。
 …そ、そうよね。私が生徒会長になったら法が人を守るというよりも人が法を守るみたいな、そんな学校になっちゃうわよね…ああ、どうして私、生徒会選挙なんかに出ちゃったんだろ。最初はもっと学校をよくしたいって思ってただけなのに、気がついたら自分のエゴを押し通してただけなのかもしれない。これじゃあローラさんのことを悪く言えないわね、彼女が選挙の場にちゃんといさえすれば、私は三位だったのかもしれない。
 …もう辞めちゃおうかな、こんな人に嫌われるような性格の私…
 …やっぱり私の憧れている観星中学のあの人みたいには、そう簡単にはなれないよね…

「ちょっと待ちなさい!そこでこそこそ話しているあなた達!」
「!」
「あ…あなたは…!」

 気分が沈んでいると、向こうの人達にとっても意外な人物が現れたらしい。

「ローラさん!」
「あ!あの…ごめんねローラさん…陰口みたいなことを言って…」
「陰口は結構!陰口を言われる女王は良い女王ってグランオーシャンの王女も言ってたわよね。私に見えないところならどんどん悪口を言いなさい!それを耐えている私かっけー!って自己満足できるから!おーほっほほ!」
「ローラさんのメンタルすげー…」
「いやでも聞こえてるところで言っちゃったよね…そこはごめん…」
「でも私が今あなた達に物申しきたのは私のことじゃないの!角田さんのこと!」
 ビシ!って私はまだ隠れているので見える訳じゃないけど、ローラさんが生徒にそう指差している光景が何となく見えてしまった。
「角田さんを悪く言うんじゃないわよ!彼女はすごいのよ!学校のこと真面目に考えているし!公約は私よりしっかり考えているんだから!確かに真面目に考えすぎてるところはあるかもしれないけど!選挙に出ないくせに人の見えないところで文句ばっか言うシーンを見ちゃうとついイライラしちゃうのよね。Twitterで文句だけ言うだけのやつか!」
「あわわ…ごめんなさい…」
「…ってローラさんも結局悪口嫌いなんだよね」
「私は単に勇気を出して同じ舞台に立った仲間を貶されるのが嫌なだけよ!それも何も努力してない人に言われるのはね!」
 …ローラさん、やっぱり。
 彼女の言い分はもっともだけど、そろそろ私も姿を出した方がいいわね。
「…そこらへんにしておきなさい、ローラさん。そう言ってくれるのはありがたいけど、そこまで言ったら悪口を言ってストレスを発散できない嫌な学校になっちゃうから」
「あら、角田さん、そこにいたの」
「げ!角田さんまで!」
「あわわ…私達…その」
「…良いのよ、私が生徒会長に向いてなかったのは事実だから。私が反省していることを第三者の意見で答え合わせしてくれてありがとうね。その…盗み聞きみたいになってしまったのは私の過失なんだけど」
「…いいの、角田さん?」
「…良いも何も、私の憧れている人ならこうするだろうって思って言ったまでよ」
 私が生徒会長になってみたいな、って思わせてくれた人。
 前に観星中学という学校に見学しに行った時に出会った生徒会長、姫ノ城桜子さん。彼女も第一印象ではちょっとお堅い生徒会長に見えたけど、色んな人のことをよく見えていて自分たちが感じた第一印象は間違えだったんだって気づきを与えてくれる、いい生徒会長だった。
 私はあの人みたいに、人の気持ちに寄り添えて気付きを与える生徒会長になれなかった。今回はそれだけだろう。次に生徒会長って役割じゃなくても姫ノ城さんみたいな人になりたいって願いを叶えるチャンスはどこにでもあるだろう。
 …それに
「確かに悪口を聞いてしまったのはショックだったけど、戦友がここまで私のことを庇ってくれたこと、そっちの方が嬉しかったかしらね」
「ふふーん、どう?私かっけーでしょ」
「分かりやすくかっこつけてそこで台無しになってる感あるけど…」
 でもローラさん、来年は本当にいい生徒会長になっちゃうかもね。
 姫ノ城さんみたいに、人のことよく見てるもんね。

「あなたやこの学校で経験したことを活かして、私もいい大人になっていくね」
「あ、私が女王選挙に出る時があったらその時は投票お願いね」
「その時の根回しだったの…?」
「もちもち!生徒会長も女王になる通過点に過ぎないのよ!」
 …って落選しちゃってるけどね。そもそもグランオーシャンの女王って未だに何かよく分かってないけど。

「…多分いい女王になれると思うわよ、ローラさん」
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