プリキュア創作9

□裏方のチョンギーレ
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「そっか・・・あのナルシストルーって奴はクッキングダムに帰ったんだな」
「ええ、元々そっち出身だったみたいだしちょうど良かったのかもね。今まで彼のご飯のお世話の為に応援にきてくれてありがとうね、チョンギーレ。少し寂しい?」
「・・・いや、寂しくはないんだが・・・」

 結局俺の作った料理もあんまり食べなかったよな、あいつ。料理人としてはそこは不完全燃焼だったかな。
 ・・・け、魔女様といいあのナルシストルーとか言う奴といい、俺ったら偏食家ばっか相手にしてるとこあるよな。かったりー。

「んじゃもう用事も終わったから俺はグランオーシャンに帰るからな。このおいしーなタウンでいい食材沢山手に入ったわ。ありがとな」
「あー!待ってチョンギーレおじさん!もうちょっと待って!」
「あん?」

 ってエルダみたいな奴から引き留められてしまった。人間の世界にも似たような奴はいるんだな。

「・・・確かおめーは華満らん・・・俺になんのようだよ」
「チョンギーレおじさんって料理だけじゃなくってメカの開発も得意なんでしょー。ちょっと私の作ったこの撮影ロボの様子を見てみてよー」
「撮影ロボ?なんじゃそりゃ」
「今度マリっぺがおいしーなグランプリで焼きそば屋さんを開くからそのPVを撮るの!より臨場感のあるアングルを撮る為に性能のいい撮影ロボを作ってるんだよ」
「おいしーなグランプリ!?それって料理の大会か!?」
 俺としてはメカよりもそっちの方が興味あるな!
「ええ、そうなのよ。ちょっと私の資金が不足しちゃったからこっちの世界で一攫千金を狙ってみようと思ってね」
「・・・え、お前。この間故郷のクッキングダムに戻ったんじゃないのか?その時金貰ってくればよかったじゃねえか」
「・・・そ、そうなのよね。うっかりしてたわ。結局セレクトルーが来てばたばたしちゃったし・・・それに私のデリシャストーンも直してもらって戦えるようにしてもらえば良かったわ」
「な・・・何しにいったんだよ、お前」
「ナルシストルーを預けに」
 ・・・ま、言われたらそうなんだがよ・・・こいつ真面目な大人に見えて意外と抜けてるとこあるよな。
「そ・れ・よ・りも!メカも良いんだけどそう言えばうちにはプロの料理人のチョンギーレがいるじゃない!あなたも出て一緒に優勝をもぎもぎもぎ取っちゃいましょうよ!」
「いや!料理の大会と聞いて一瞬テンション上がったが、やっぱり出ない!」
「えー、なんでよー」
「まずお前が出るってことはそれは素人の大会なんだろ?プロの俺が出たらまずいだろ!」
「いや、普通にプロの料理人も出るよー、しかもマリちゃんの出す焼きそばに関しては焼きそばやさんのタカオさんとみやこさんも出場するよー。おねがーい、チョンギーレおじさん!マリっぺを助けて〜」
 ・・・って頼られるのは悪い気はしねえが・・・
「すまん、やっぱりまだよくしらねえ大勢の人間の目の前に姿を現すのは、ちと遠慮してえかな」
 って思い出してみたら去年くらいは結構楽しんでキュアサマー達のいる学校でイカを焼いていた気がする。あの時はコスプレってことで誤魔化せていた気がするが・・・
「・・・そうね、悪かったわね、チョンギーレ。少し考えてくれただけでありがと」
「・・・お、おおう・・・」
「あー!そうだ!じゃあチョンギーレおじさん!任侠ものの映画持ってない?あまねんがナレーションの勉強の為に色んな任侠作品を見たいって言ったよ!貸してー」
「何で料理大会の撮影に任侠ものが出てくるんだよ!」
「いや、それテイストの作品を作りたいから」
「わ・・・訳分かんねー・・・いや、キュアサマー達のプリキュアもよくわからんかったが、お前らも大概だな」
 っていうかどこのプリキュアもそうなのか?まったく不思議な連中だぜ。
「ほらよ、俺様おすすめ『あとまわし任侠カニ道楽』だ。深海ヤクザの話でこっちの世界の住人に受けるかどうかはわからんが、魂に響くところは同じだと信じてるぜ」
「わーい!やったー!チョンギーレおじさんありがとー!あ、ロボはここに置いておくから時間があったら見てね。私はあまねんち言ってこれ見てくるから。じゃねー!」
 っと言って華道らんはぴゅーっとどこかへ走り去ってしまった。
「・・・ったく、俺がロボを見る前提かよ。かったりいな、どれどれ・・・」
「って結局見てくれるのね。やっぱり頼りになるじゃない、チョンギーレ」
「・・・ま、悪い気はしねえからな」
 俺の見た目で作ったものを差別しない環境っていうのは、やはり居心地が良いものだ。
「・・・私達の口からは強くは言えないけど、少なくともプリキュアのみんなはあなたの見た目でどうこう言う子はいないわ。今回は確かに大勢の人の前で出てくるようなところに出てほしいなんて無神経なこと言ってごめんなさい。気を悪くしないでね」
「・・・良いってことよ、気を遣ってくれてるのは伝わるしな・・・はあ、ナルシストルーって奴にも教えたかったな」
「え、何を?」
 おっと、これは口が滑ったかな。こういった信条は言葉じゃなくて出来れば料理で伝えたかったんだがな。俺もまだまだ未熟ってことなのかもしれねえな。

「料理だけは、見た目や生まれた環境に限らず、平等に味わえる幸せなんだってことを、ナルシストルーにも伝えたかったよな。まあ実際は好き嫌いやアレルギーとかもあるだろうから、そこは料理人の腕次第だとは思うが」
「ふふ、彼もまたいつか、罪滅ぼしが終わったらこっちの世界に遊びにくると思うから、その時はよろしくね、チョンギーレ」
「・・・おう」

 ・・・やっぱり頼られるのも、悪くねえな。
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