プリキュア創作9

□クラスでのあまねと拓海
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「なあなあ・・・生徒会長、やっぱりこの間のゆいってさ・・・」
「ん、何だ、品田」
 休み時間に品田が何かこそこそ話しかけてきた。珍しいこともあるものだなっと思ったらそうか、こいつにはまだ説明してなかったよな。
「ああ、実はイースキ国の女王マイラ様だったんだ。お前もモンペイさんから聞いてないか?ゆいとそっくりだったから入れ替えたんだ」
「フツーそういうことするか?生徒会長も中々ぶっ飛んだことするよな!?」
「・・・って考えたのは私ではないがな。一応止めはしたよ。でもマイラ女王本人が乗り気だったから意思を優先したまでだよ。中々楽しくやっておられたぞ」
「・・・にしても何も知らない俺の前にゆいに変装したマイラ女王を出すのは趣味悪すぎやしないか?」
 って言われてみたらそれはそうなんだが、それにしても品田。今私に話しかけたということは・・・
「お前、自力でゆいじゃないって気がついたんだな。すごいな、側近の執事やメイドはほぼ一日中バレなかったというのに、お前はあの一回の会話の違和感で気がつくことができたんだな」
 さすが愛の成せる技と言ったところか。これは口には出せないけど感心したぞ、品田。普段情けないところばかり見せているお前でもちゃんとかっこいいところはあるんだな。頑張れよ、品田。
「・・・ああ、だってゆい・・・じゃなかった、マイラ女王。俺と話してると何だか恥ずかしそうにして赤面してるんだぜ?それってゆいは絶対にしない仕草で違和感MAXだったぜ・・・」
「ぜ・・・前言撤回。品田、やはりお前はこれからも苦労しそうだな」
「・・・何だよ、前言撤回って。何か言ったのかよ」
 ああ、すまない。心の中の言葉と現実がごちゃごちゃになってしまったな。少なくともゆいと品田の前ではこのボロを出さないようにしよう。私もそれくらいの気配りはできないようにしないと大人になってから大変だと思うしな。
「・・・あと週刊誌で見たんだけど、マイラ女王って他の王子達と仲悪いみたいじゃないか。気軽に入れ替わったら大変じゃないか?漫画みたいに間違って誘拐されたりとかしなかったか?」
「したぞ」
「したの?」
「ああ、でもゆいは自力で縄を解いて無事脱出したみたいだ」
「何だそれ!?さすがに漫画でもそんなことないだろ!?」
 いや・・・まあそれこそ言えないけどゆいはプリキュアだしな。さすがにプリキュアに変身して縄を解いたとは思うが・・・いや、でもマリちゃんを抱えて走れるくらいの怪力を持つゆいなら、縄くらい自分で解けてしまうのかもしれない。
「・・・はあ、ゆいのピンチに駆けつけようって心掛けてるけど、あいつは強いから勝手に自分で助かっちまうんだよな」
「・・・ああ、そうだ。ゆいは強い。彼女の横に立てるのはそれ相応に強い者ではなくてはならない。頑張れよ、品田。私は応援しているぞ」
「・・・なーんか知ってる風だよな、生徒会長って」
 おっと、いけない。少し言い過ぎだっただろうか。これははしたなかったな。少し冗談でも言って場を和ますか。
「そうだ、品田も変装してみてゆいの近くでこっそり助けてみないか?それでゆいに意識させてあのかっこいい人は誰だろう、もしかして品田じゃない?って気になるのかも?」
「・・・いや、ゆいは気付かないよ、そういうの。絶対に。っていうかもう試したことある・・・っていうか俺はマイラ女王とゆいの違いに気付いたのに、ゆいは全く気が付かないの、ショックだよな・・・俺はまだ全く意識されてないってことが分かってしまった・・・」
「あ、そうなのか。去年のハロウィンくらいの話か?」
 まあ確かにゆいは今はご飯に恋して他に恋する暇はないって感じだもんな。にしても変装して試したことあるっていつのことだろうか。
「それにゆいはそういった助け方するより、普通にありのままの自分で隣で手助けした方がいいよな。あいつは弱くはない。弱いと勝手にこっちが思い込んでありがた迷惑なことする方が失礼な時ってあるだろ」
「品田、お前」
 ふ、中学三年生ともなると、周りの男子もどんどん大人になっていくものだな。
「そういう考えをしてるならそのうちゆいもお前のことをちゃんと見てくれる日がくると思うよ。頑張れよ、私も出来るだけサポートするよ」
「お・・・おう。何のことかは分からないけど」
「ふふ・・・」
 でも何だかこんなポジションにいるのも楽しいよな。HUGっとプリキュアの薬師寺さあやさんの気持ちになれている気がする。
「おお、拓海とあまねちゃんが普通にクラスメイトみたいな会話してる・・・新鮮・・・」
「ってゆい!?」
「いつの間にここに!?」
 私と品田が会話していたところをどうやらいつの間にいたゆいはずっと聞いていたみたいだった。ああ言った手前なのに全然気が付かなかった!失態!
「うーん、ハロウィンの話が聞こえたからお菓子の話してるのかなー、って思って来てみたんだよね」
「割と話の核あたりだな・・・え、大丈夫か?」
 品田がゆいのことをその・・・す、好きなの、バレてないよな?
「確かに去年の拓海のハロウィンの衣装、かっこよくて素敵だなー、って思ったよ」
「え、あれ俺だって分かったのか?」
「うん、タキシード似合うよね、拓海」
 って何だか話が違うぞ。去年の変装はバレなかったのではなかったのか?それとも別のイベントなのか?
「うう・・・何で・・・何で俺のタキシード姿が似合うって言ってくれるのに・・・気が付いてくれないんだ・・・いや、気が付いたら困るんだけど」
「あれ、拓海落ち込んじゃった」
「・・・私もフォローしてやりたいんだが状況が読めない・・・」
 でもこの二人を見てると何だか青春って感じがしていいな。願わくばもう少し、このポジションで眺めていたいものである。
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