プリキュア創作9

□マリちゃんとゲンマさん
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「ふう、一時はどうなることかと思ったけど、無事マイラ女王とゆいの入れ替え作戦、成功ね」
 いい思い出になったかしら、マイラ女王。ふふ、やっぱり子供の思い出作りに人肌脱ぐのは気持ちが良いわね。

「・・・やはり、そうだったのですね」
「・・・え」
「・・・失礼、騒がれては子供達に気付かれます。急に話しかけた私も悪いのですがどうかここは穏便に」
「ゲ・・・ゲ・・・」

 油断した矢先、さっきの私の言葉はこの人に聞こえていたみたいだ。仮にもクックファイター精鋭の私に気配を察知されないで近づくなんて、中々やるじゃない。

「ゲンマさん!?やだ!今私!墓穴掘っちゃいました?い!いやーーー!やっぱり犯罪ですよね!?し、死刑とか?」
「そんな制度うちにはありませんよ、安心して下さい。今はお礼を言いに来たのです。見たところあなたが彼女達の監督者と見受けられたのですけど、間違いはないでしょうか」

 っとゲンマさんも大人な対応をしてくるので私も大人モードに戻る。本当なら落ち着いて話す担当はあまねが適任かもしれないけど、ここはちゃんと私が責任を果たす場面だろう。

「・・・この度はご迷惑をおかけしてすみませんでした。死刑は言い過ぎだけど、どんな処罰でも受ける所存です。一国の女王を危険な目に遭わせて申し訳ございませんでした。近頃は物騒な事件も多いでしょうし、ゲンマさんの心労も相当なものでしたよね」
「・・・いえ、こちらこそ身内のゴタゴタに和実ゆい様を巻き込んでしまってお恥ずかしい限りです。お怪我はありませんでしたでしょうか」
「いえ、ゆいならピンピンしてますよ。むしろ怪我人ならそちらの方で出てるのではないでしょうか」
 さ、さすがにプリキュアの力を使って生身の人間を攻撃するのはやりすぎだったかもしれないわね。ゲンマさんっていうかクッキングダムから私が怒られそうだわ。
「いえ、正当防衛なのであしからず。怪我人も出てませんよ。そちらの護身術の技術は素晴らしいものだったと見受けられます。私もその道をかじっている者として、気にはなりましたけどね。あれほど大勢のサンザー王子直属護衛兵達を大きな怪我もなく制圧した場面は一体どういった風景が繰り広げられたのか・・・」
「あは・・・あはは・・・まあうちのは鍛えてますから」
 ・・・それこそ真実を知ったらゲンマさんが騒いでしまうかもしれないから黙っておこう。ああ、こうならない為のデリシャスフィールドなんだけど、私こそプリキュアの存在が知られたら今度はマスコミとかにゆい達が追われる立場になっちゃうかもだからふざけてないでしっかりしないと。
「・・・っとのことで、積もる細かい話をしていったらお互い困ることも多いでしょう。今日の場はマイラ女王と和実ゆい様の友情に免じて、大人達はコソコソ話をするだけにしておきましょう」
「・・・ええ、そうですね」
 そしてこのゲンマさんも、堅物そうな見た目に反して結構柔軟な人みたいね。さすが王族の執事さんって感じだ。
「・・・私は堅物ですので、むしろこれまでマイラ様にはご迷惑をおかけしていたのかもしれません」
 ・・・って心の中で思った矢先に反対なことを言い出すゲンマさん。
「そんなことありませんでしたよ。マイラ女王の国を大切に思う気持ちはメガ盛りに伝わってきましたよ。きっとゲンマさんや国民から愛されて育ってきたんだなって分かりますもの」
「・・・ですがきっと、私達の元だけで生きていたら、マイラ様は今日のように原稿を見ないで皆さんの目を見ながら行うスピーチは出来なかったのかもしれません。礼儀や作法を学ぶのも大切ではありますが、これからのイースキ国を担う指導者として必要になってくるのは『平等』の精神です」
「・・・『平等』、ね」
 イースキ国だけのことじゃなくて私は最近戦ってきたナルシストルーやケットシー達のことを思い出す。彼らはそんな『平等』からはみ出てしまった為に悪、または行きすぎた独善に走ってしまった者だった。彼らをただ倒すんじゃなくて、事前にご飯や無償の愛などで満たしてあげる生活を送らせていてあげたら、大人としてこれからそんな社会を作らないと、なーんてことを考えていた矢先に次は本物の指導者になるマイラ女王が現れた。
 何も『平等』は弱い人達だけに配られる者ではない、上の人達も下の人達と平等にご飯や思い出は配られても良いんだ。
 それを学べば、きっと良い社会を彼女は作ってくれるんだろう。
「きっと今日、和実ゆいさんという市民の立場になって友達と楽しくご飯を食べたり、街を巡った思い出は彼女の中で特別な体験になって平等な王になってくれることを私は信じています・・・王族の中には残念ながら未だにサンザー王子のような選民意識の高い思想も残っています。これからの新しい時代を作っていくのは私みたいな堅物でもサンザー王子でもなく、真の平等を知った若者だと思うのです」
「・・・ですけどそれは厳しい教養という基本を身につけた状態でこそ学べる『平等』だとも思います。ただ一言に『平等』って言っても色々ありますからね。まずは厳しさと人との接し方のマナーを知った上で取り組むべきですよ。今日一日のマイラ女王が私達にしてくれた沢山の丁寧な対応は、ゲンマさんのその真面目さが出ていたと思いますよ」
「・・・こういうのは何と表現した方がよろしいでしょうかね。やはり今日は日本にきてよかった、沢山の価値観の刺激を私自身でも体験しました」
 まあここはおいしーなタウン風に言いましょうかね。
「合わせ味噌って奴ですよ。お互いのいいところを合わせてもっと素敵な料理にしましょうね、イースキ国と日本もこれから仲良く合わせ味噌しましょ」
「・・・はい」

 そしてゆくゆくはクッキングダムとも・・・何て思ってしまう。その為にもブンドル団との戦いを早く終わらせないとね。
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