小説
□Over The Horn その@ キ
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オニとヒト。
進化の過程で枝分かれした亜種同士の生物。骨格、肌の色、角の有無など細かな違いはあれど、活動範囲や知的能力が似通った二種の生物。
生物進化論の例に漏れず、同等の力、同じ食生活もった両者はお互い子孫繁栄を阻害し合う敵と認識した。
どちらが優良種か、どちらが劣悪種なのか。
その競争の答えが出たのが鎌倉と呼ばれる時代であった。
ヒト、最後の個体である『モモタロウ』。彼を鬼ヶ島で駆逐し、ヒト種は滅亡した。
歴史が選んだのはオニだった。
後にオニ達の文明は発達し、個体数は爆発的に増加。
世界中に生息地を広げ、他の生物を支配し、名実共に地上最強の知的生命体と君臨した。
この物語りはそれから八百年後、西暦二十一世鬼。
外敵もなく、同種同士の内乱も一段落ついた平安の世。
文明の発達はオニに物質的な豊かさだけでなく、多様な価値観、多様な娯楽、個々の生き方を生んだ。
また個性が増えるに伴い、増加する心の病という問題。
そんな複雑な時代に特殊な職に就き、命を燃やし続ける。
葛鬼ルル
鬼俵チヨキチの物語りである。
Over The Horn