コラム部屋
□アニポケ感想
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脇役とは何か。
前に、妹から唐突にこんな質問をされた。
「脇役でまず思い浮かべるキャラは誰?」
1+1=?を答えるリズムで私は答えた。
「クリリン」
と。
そしたら妹は驚くリアクションをとった?
何をそんなに驚いているのかね、と逆に質問してみると
「漫画好きに質問してみた名脇役は誰で一位がクリリンだとよ」
と返ってきた。
脇役とは何か。
名の通り、目立たぬように物語中ふるまい、決して主役より前に出ないポジション、キャラデザを持ち
「主役の決めシーンを盛り上げる」
ことに全力を注ぐ役のことを個人的には思う。
クリリンを思い出してほしい。
あの簡素なキャラデザながら憎めず、印象には残るが、決して悟空の前に立たないポジション。
目立たないとはいえ、決して弱いわけではなく、悟空が来るまで場を持たしてくれる。
私も微力ながら創作を行う人間として
「主役の目立つシーン」
に重点を置いて制作しがちだが、本当に大切なことは
「主役の脇を固める」
このことなのではないかと、妹の質問から考察した。
そして先週の木曜日。
私は再びこの「脇役大切だわさ理論」を思い出す出来事と出会うことになる。
ポケットモンスターベストウイッシュ第26話:「釣りソムリエ・デント登場!」
本来3月放送の回だが、水辺での話だったためか今になって放送。
元々「ヒウンシティでベルと再会」というくだりで始まる話だったが多少つじつまが合わなかったいところは空気を読む。
つじつまが合わない所→
・デスマスと初対面
・序盤の会話がものすごくひねりがない
・ベルと共に次の話へ進むというシーンが多分改変
個人的に印象だったのが最後のサトシの
「みんなが無事で何よりだったよ」
というセリフ。多分狙ってるよね。
さて、普通の感想はこれまでにして
先ほどの「脇役理論」に戻る。
アニメポケモンも長く、その歴史の縁の下にも優秀な脇役がかつて存在したのだ。
タケシである。
思い出してほしい。
タケシのあの簡素なデザイン。
とはいえ憎めないあのキャラ。的確にサトシをサポートする裏方ぶり。
どれもこれも「主役の活躍どころ」を光らせる働きであり、彼もまたアニメ史に残る名脇役の一人と数えてもいいだろう。
実はこのタケシ、アニメ新シリーズ「ポケットモンスターベストウイッシュ」には出てきていない。
前回の「DP編」で医者を目指すといって一人立ちしたのだ。
「BW」のコンセプトは新しいファン層の獲得だというのは分かっている。
故に古参キャラのタケシを切るというのは理に適っている。
しかし、ポケモンというコンテンツは不思議なもので、数値や計算以上に愛着や信頼で楽しめるエンターテイメントなのである。
ポケモンは子供向け番組、長年この番組で活躍してきたタケシらしく、『新しい子供たちの為に古参キャラを切る』という過程でいなくなったタケシ。
長年彼に育てられた世代の一人として当時敬意を表して私は見送ったのである。
そして始まった「BW」。
そこにタケシの姿はいなく、新たにサトシの給仕役として彼が登場したのである。
デントである。
まず初めに言おう、私はデントが嫌いだった。
タケシに育てられたものの一人として、どうしても許せない点が何点かあったのだ。
・イケメン
別にイケメンが嫌いと言っているわけではない。
タケシのポジションにイケメンがいるということが問題なのだ。
「脇役理論」でも話したが、脇役の仕事は「主役を輝かせる」ことであり、逆にいえば「主役より目立つ要素」はご法度なのである。
・宮野守の演技
別に宮野守が嫌いというわけではない。むしろ今期シュタゲと犬日で相当お世話になったよ。
これまた宮野が「イケメン声」で演じちゃうもんだから劇中サトシが霞んでしまうという事態に。
だめだこいつ…なんとかしないと…
今後タケシの代役が務まるのか…そう思っていた時期が私にもありました。
スタッフがデントの扱いを理解したのか、はたまたただのテコ入れなのか、今年に入ってからデントの扱いがおかしい。
イケメンポジはイケメンだけど、いわゆる残念なイケメンポジに落ち着いてきているのかな?
@ことあるごとに死に掛ける
・ヒトモシの霊界の門に飲み込まれかける
・デスマスに乗っ取られて人間をやめかける
・一日中サトシ達に放置プレイを受ける
・アーケンに殺されかける
これ全部イケメンのデント君の役ですよw
最初は嫌いだったデントもここまでやられると親密感がわくというか守ってあげたくなります。
A好きなものジャンルに対してはへんた…豹変する
・釣りソムリエ(今回の話)
・ミステリーソムリエ
元々ポケモンソムリエという職業だった彼だったがそれではキャラが弱いとスタッフに判断されたのか釣りソムリエとミステリーソムリエというキャラ付けを得る。
ソムリエって何だっけ
個人的に好きなものジャンルに対して豹変するというキャラは大好きで自作品にも何人か作っています。
好きなジャンルに豹変って何?っていう質問に対しては…
・メダロットのイッキくん(たこ焼き)
・脳噛み探偵ネウロの本城のおじさん(段ボール)
・よつばとの恵那ちゃん(ケーキ)
・メルブラのシエル先輩(カレー)
というキャラ達を見てくれといえばわかりやすいですが…
要は本編とはなんら関係のないジャンルだけど突然スイッチが切り替わったように夢中になるキャラ
と言いましょうか。
メダロットのイッキ君がその代表だと思っていて
「メダロットのアニメの主人公が番組の半分をたこ焼きの語りしかしないであげくの果てに論文口調でたこ焼きは地球だ」
といいはなつくらい暴走するキャラ達のことです。
こういう好きなものに対して一生懸命のベクトルが常軌を逸しているキャラというのが大好きです。
そしてタケシの後釜としてキャラが弱いとされていたデントにこの属性が二つも付与されました。
今回の話では普段紳士的なデントが釣りに関して突然語りだし、
大会に参加している間終始見せたことのないドヤ顔
獲物がかかり焦るサトシ達に対して「焦るな、素人ども」と言い放つAパート。
かなりカオスでした。
まあ近年の萌キャラ売りが蔓延しているこの世の中で久々にクオリティの高いキャラ作りに出会いました。
宮野守さんの演技もどっかのギャルゲーみたいな優柔不断なユル主人公とマッドサイエンティストが入り乱れた演技の使い分けに脱帽いたします。
デントが宮野守さんで良かった…
ではこの言葉で今回の感想を〆るとしましょう。
「ベルちゃんのおっぱいとアイリスの生足は良いですね、ええ」
デントは本当に良い脇役ですね。