小説

□ホワイトデーSS
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「…チヨ…おはよう…」

姿勢を崩さずに、眼鏡をキラリとさせて僕を見つめるルルちゃんを見て、僕はある種の悟りを覚えた。
…ああ…また始まるんだな…いつもの。

「とりあえず来るの遅いわよ」
「それはルルちゃんが仕事早すぎるからだよ」
「…それでも一応早くくる心掛けをしなさい。それより…」


…きた!
僕に怒る時間が極端に短めの後に続く「それより」!これが意味するところは…

「ホワイトデーのお返しってどんなのにすればいいの?」

大抵訳の分からないことを悩んでそれを僕に無茶ぶりする時の予兆なのである!
…ああ、今日も始まるのね、彼女独自の謎主張タイムが…
こん時ぶっちゃけ疲れるんだよな…ルルちゃんらしいといえばらしいトークができるのはいいのだが、ともかく大抵僕への当たりが強いのが困ったことなこのイベントなのだが、さてはて…今回はホワイトデーですか。

「ってあれ?ルルちゃん。ホワイトデーってバレンタインのお返しの日だよね。なんで女の子のルルちゃんがそれ心配するの?」
「そりゃバレンタインに貰ったからよ、私女なのに」
「…ふむ、それはごもっともだ」
「だからね、私としては生まれてこのかた初めてお返しする側の立場を迎えてしまった訳なのだけれど、こんな時にどんなホワイトデーハウトゥーがあるのか全く知らないのよ」
「なるほど、んじゃ今回僕はルルちゃんにホワイトデーの先輩として、どんなお返しをすれば相手側に失礼がないかということをしりたいんだね?」
「そーいうことね」

…ん。
なんかどうやら今回は純粋に僕の知識を欲してのルルちゃんの質問らしい。なんか珍しいな。
大抵彼女の持論を延々と聞かされるこのイベントに関しては、比較的僕にとって制限のゆるい展開っとなってくれたらしい。
よーしこうなったらチャンスである!こういう時をきっかけにルルちゃんに頼られるようなポイントを作っておかねばね!

「で、でもすごいねルルちゃん!バレンタインにチョコ貰うなんて、さっすがルルちゃん、同性にもモテるぅ!」
「うっさいわね!こっちだって好きでモテてる訳じゃないのよ!」

っと…つい調子に乗ってしまった…
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