□1.
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左手で顔を支えて、右手でシャーペンを持つ。

くるくると回せたらカッコイイだろうかと思いシャーペンを浮かせれば、呆気なく地面に落ちた。

カシャン。

そんな音が教室に響く。

やっぱり。

出来ないのは分かっていた。

ただ、暇すぎて、つまらなすぎて回せるかも、というふざけた考えを持ってしまったんだ。

あたしがひろわずぼーっとしていたら、隣の子が机に置いてきた。


「ありがとう!」


さも今気づいたかのように笑ってお礼を言えば、相手も笑い返してくれた。

単純、面倒。

そんな言葉が頭の中をぐるぐると回っている。

笑うのが面倒。

嘘の笑顔に気づかない彼女が単純。

でも、一番は嘘をついてまで自分を大事にしてるあたしが嫌。

教師のぼそぼそとした説明を聞く気にもなれず、ゆっくりと眼を閉じる。

周りはもう半分以上夢の中にいるのだろう。

いつもは騒がしいこの教室も、今は悲しいほどに静かだ。
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