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左手で顔を支えて、右手でシャーペンを持つ。
くるくると回せたらカッコイイだろうかと思いシャーペンを浮かせれば、呆気なく地面に落ちた。
カシャン。
そんな音が教室に響く。
やっぱり。
出来ないのは分かっていた。
ただ、暇すぎて、つまらなすぎて回せるかも、というふざけた考えを持ってしまったんだ。
あたしがひろわずぼーっとしていたら、隣の子が机に置いてきた。
「ありがとう!」
さも今気づいたかのように笑ってお礼を言えば、相手も笑い返してくれた。
単純、面倒。
そんな言葉が頭の中をぐるぐると回っている。
笑うのが面倒。
嘘の笑顔に気づかない彼女が単純。
でも、一番は嘘をついてまで自分を大事にしてるあたしが嫌。
教師のぼそぼそとした説明を聞く気にもなれず、ゆっくりと眼を閉じる。
周りはもう半分以上夢の中にいるのだろう。
いつもは騒がしいこの教室も、今は悲しいほどに静かだ。