SHORT STORY

□光への憧れ
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東京都渋谷区

人工の光が街を照らす


「…寒……コート買おうかな…」

「お前って暑いのも寒いのもダメなのな」


私の隣に居る男が軽口を叩く


「……上司にタメ口使うな」

「へいへい。分かりました」

「……………」


私達が今立っているのはビルの屋上

冬の寒空の下、しかも夜にビルの屋上に居るのは普通の人間だったらおかしいと思うだろう


そう、私達は普通の人間じゃない

というか人間ですらない

私達は――


「……佐近」


彼が指差す方に浮遊する異形の物体がいた

……いや物体ではないか


「…まだ気付かれてないね」

「ああ」

「よし、行くよ」

「了解」


私は鎌を、彼は刀を握りビルから跳んだ

アレを狩るために



私達は死神

確かに人間の様に感情を持ち、喋り食べて眠る

だが我々の仕事は魂を回収、または身体から切り離し転生の機会を与え、悪霊を狩り浄化する事

れっきとした霊界の住人なのだ



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