SHORT STORY
□キライ
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だが動くそれはドンドン私に近づいて来た
あと数センチという所で私は漸く動き出した
部屋の襖を開け、自分がビックリするくらい速く走り、テレビの前でくつろいでいるであろう弟に助けを求めた
「でっ、出た!」
「何? G様?」
「違うわ!」
私が見たのは、台所にいるような茶色のG様じゃなくて……
それは…それは……
「蜘蛛様だ、蜘蛛様!」
足が8本、そりゃもう上手に糸を使って家のどっかに我が家を作る蜘蛛様だよ!
「何とかして!何とかしろ!」
「自分でやれよ……」
「俺が蜘蛛様ダメなの知ってんだろ!」
一発蹴りを入れれば、箱ティッシュを手に移動する弟
伊達にガキの頃から男共と遊んどらんわ!
男に間違えられとったわ!
男になりたいとか思っておったわ!
お前の方が図体デカイからってナメんなよ!