CROSS MOON
□第141話〜第160話
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様々なモノに縛られた世の中
自由を得ようともがき続ける者が居た
全てを否定されようと
生き続ける事を選んだ
他人と手を取り合う事で
世を生きる術を得た
家族を、友を
彼は護り続けた――
第141話
〈生きるモノ〉
「マジであり得ない」
「まだ言ってんのかチビ助」
「チビ助言うな!」
クッキー片手に怒鳴るチビ助――ではなくカナンの前には麦茶を凝視しているバラムが居た
「そんなに自己嫌悪しなくてもいいんじゃないか?」
「…あのさ、真下でドタンバタン戦ってる時に爆睡してる自分にイラつかない奴は居ないと思うけど?」
「ふーん」
麦茶をチビチビと口に含みあまり興味無さそうに彼は相槌を打つ
そんな様子に何となく憤りを感じつつカナンは問い掛ける
「そういうそっちは今までドコに居たわけ?」
「地下水道」
「……は?」
「落ち着くんだなァ、コレが」
思い出しているのか幸せそうに眼を閉じる彼に、カナンは苦笑していた