小説

□陽だまりの記憶
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・・・ク、ルー・・ク・・・


何だ?声が聞こえる??誰の?・・・知らない、こんな声。
でもなんだか暖かい。ずっとこの声を望んでた気がする・・・。

「誰・・・だ?・・・!」

目を開けるとそこには暗闇が広がっていた。

「何だよ、これ。俺庭で寝てたはずじゃ・・・ひっ!!」

暗闇の中から無数の手が伸びてきて俺の脚や手を掴んでくる。
どんどん引っ張られてどこかに連れて行かれそうになった。

「やめろっっ離せっ!!!!!何なんだっっ」

『・・・なぜ、生きている??』
『どうして私達だけ・・・・』
『お前も・・・・・』
『此処で死ねぇぇっっ!!!!』

「うっ!!!」

俺に対して様々な言葉を浴びせ、手が俺の首を締め出した。


「や・・めろ・・・・・・ぁ・・」


バサッッ


意識が遠のきそうになったとき何かが切り落とされた音がし、
そのすぐに首を絞めていた手の力が消え、
意識がはっきりとしてきた。
すぐに何が起きたかを確かめるため顔を上げた。


目の前に紅がいた。


そう、その色は俺が唯一記憶として残ってたもの。
いつもあいたいと思っていた。
叶わないことだとは気づいていたけど。

それが今自分の前に現れた。


「お前・・・・・誰なんだ?」

相手に聞こえるか聞こえないぐらいの声でそうつぶやいた。

紅はさっきからずっと俺に背を向けていて、顔が見えない。
声をかければ振り向いてくれると思ったのだけれど、一向に振り向かない。


「・・ぃ・・・・・せ」

「え?」


「思いだせ。・・・ルーク」


紅が俺の名を言った瞬間意識が引っ張られるようにそこで途絶えた。
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