不思議体験談

□拾った石
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私には、石を集めるという趣味があります。
パワーストーンだけを集めているわけではなく、道端に落ちている石でも拾って持ち帰ることがあります。
色や形で石を選ぶわけではなく、心に響いた石を拾っているのです。
おかげで、現在私の拾ってきた石は大層な量となりました。
そのうちの一つの石にまつわるお話をさせて頂きます。

その石は丸くて可愛らしいイメージがするもので、場所は明記しませんが墓地で拾ってきたものです。
私を拾って、と言っているような気でもしたのでしょうね。
私はいつも通り、何の躊躇いもなく拾って帰りました。
そしていつものように土を洗い落として、三日ほど窓辺で乾かしていました。
その後ふと窓辺を見ると、置いてあったはずのその石がありません。
丸いので、何かの振動で下に落ちたのかなと思い、探してみたのですがありません。
どこを探しても石はなく、親や兄弟にも聞いてみたのですが当然のように知らないの一言。
その日は石の行き先を案じつつも就寝しました。

…何時頃だったでしょうか、カリカリと何かをひっかく様な音がして私は目が覚めました。
私の家にはどうもネズミが住み込んでいるようですので、またネズミかと思ったのですが…
どうやらその音は、私の学習机の引き出しの中からしているようなのです。
引き出しの中にネズミが入れるようなスペースはありません。
おかしいな、壁とか天井で音がしているのかな?とも思いました。
そのままじっと耳を済ましておりますと、すると、何やら低い声がブツブツ言っているのが聞こえてくるではありませんか。
私は最初、父母が時間が時間なだけに小声で喋っているのだろうと思っていました。
しかし私の部屋と父母の部屋では、空室を一つまたいでいますので、小声では届かないはず…
それに、耳を済まして聞いていますと、それも同じく引き出しの中から、しかも読経のように聞こえてきます。

南阿弥陀仏…南阿弥陀仏…

その声は少しずつ大きくなり、しまいには部屋中から響くかのようになりました。
頭がガンガンして、気分が悪くて…
私はその後意識を失ったのでしょう。
気付いたときには、もう朝でした。
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