紅―Spin off―

□似て非なる世界
1ページ/23ページ



青い空、白い雲。変わらぬ空から目線を下ろせば見知らぬ街。

科学班のラボように、機械だらけの風景は異様に映る。もう一度、顔を上げた蓮華は途方に暮れた。

こうなるまでに、予感が全く無かった。というわけではない。

たまたまいつもより早く起きて顔を洗い、歯を磨き(ミントはツンとして嫌なのでバナナ味)。
新しい教団に引っ越してからまだ慣れない蓮華は、度々道に迷ってしまう。
そんな時、蓮華はゴーレムを使ってアルコに頼る事が多い。


「姉さん、ごめん。仕事中なのに。」


《いいのよ。頼ってくれて嬉しいわ。あ、そうそう。次に見えた角を右に曲がると…》


「次の角を右だな。」


《工事中で床に穴が空いているわ。危ないから左へ曲がるのよ。》


「え?―…っぎゃあぁああ!?」


《!?アイリスっどうしたの!アイリスゥウウ!?》


曲がって少し踏み出した所で、左足が床を踏むことはなく。アルコが自分を呼ぶ声を最後に、蓮華の意識は途絶えた。

そして、次に蓮華が目を覚ましたのは外。さらには、何やら見知らぬ人々に囲まれていた。


「あっ起きたぞ!」


「つ…っ」


「あ!えーと…アーユーオーケー?」


「?」


何だその下手な発音は。と疑問に感じていると男は何を思ったのか、さらに話し掛けてきた。


「えぇっと!スリーピング!ヒヤア!ノー!」


(此処で寝ろ、違う?いや、此処で寝るなと解釈すべきか?)


何だか訳がわからず周りを見渡せば、見たことのない場所に体が硬直する。


「此処は…どこだ?」


「あれ?日本語話せるの?なーんだ早く言ってよ。外国人だから焦っちゃった。」


「日本語?此処は日本なのか?」


「イエス!アイアムジャパニーズ!」


先程とは違い自信満々な様子だが、それでも発音は悪い。さらには日本人というわりには、何だかチャラチャラしている。


「…日本人は黒髪じゃないのか?」


「ん?あー、染めてるんだよ。カッコイイっしょ?」



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ