紅―Spin off―
□似て非なる世界
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青い空、白い雲。変わらぬ空から目線を下ろせば見知らぬ街。
科学班のラボように、機械だらけの風景は異様に映る。もう一度、顔を上げた蓮華は途方に暮れた。
こうなるまでに、予感が全く無かった。というわけではない。
たまたまいつもより早く起きて顔を洗い、歯を磨き(ミントはツンとして嫌なのでバナナ味)。
新しい教団に引っ越してからまだ慣れない蓮華は、度々道に迷ってしまう。
そんな時、蓮華はゴーレムを使ってアルコに頼る事が多い。
「姉さん、ごめん。仕事中なのに。」
《いいのよ。頼ってくれて嬉しいわ。あ、そうそう。次に見えた角を右に曲がると…》
「次の角を右だな。」
《工事中で床に穴が空いているわ。危ないから左へ曲がるのよ。》
「え?―…っぎゃあぁああ!?」
《!?アイリスっどうしたの!アイリスゥウウ!?》
曲がって少し踏み出した所で、左足が床を踏むことはなく。アルコが自分を呼ぶ声を最後に、蓮華の意識は途絶えた。
そして、次に蓮華が目を覚ましたのは外。さらには、何やら見知らぬ人々に囲まれていた。
「あっ起きたぞ!」
「つ…っ」
「あ!えーと…アーユーオーケー?」
「?」
何だその下手な発音は。と疑問に感じていると男は何を思ったのか、さらに話し掛けてきた。
「えぇっと!スリーピング!ヒヤア!ノー!」
(此処で寝ろ、違う?いや、此処で寝るなと解釈すべきか?)
何だか訳がわからず周りを見渡せば、見たことのない場所に体が硬直する。
「此処は…どこだ?」
「あれ?日本語話せるの?なーんだ早く言ってよ。外国人だから焦っちゃった。」
「日本語?此処は日本なのか?」
「イエス!アイアムジャパニーズ!」
先程とは違い自信満々な様子だが、それでも発音は悪い。さらには日本人というわりには、何だかチャラチャラしている。
「…日本人は黒髪じゃないのか?」
「ん?あー、染めてるんだよ。カッコイイっしょ?」