月日、空を飾る

□恋人という存在
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「お待たせいたしましたの。」


翡翠の声に振り向けば、総悟を目を大きく開く。
お蘭プロデュースの着物は見事、総悟のストライクゾーンに入ったらしい。
シンプルだが、纏め上げた髪がとても似合っていた。


「こ、この色は初めてなのですが、問題ないでしょうか?
あと、髪型も初挑戦なのですけれど…。」


「問題なんかありゃしねぇけど、翡翠に見惚れる連中が増えるのはいただけねぇな。」


「!」


「さっ行くぜ。」


「はっはい!」


顔を赤くして顔を逸らす翡翠の手を掴んで、総悟は屯所の門を抜けた。

街に出れば、早速下着の店へ。勿論総悟は店の外で待機。二人で肩を並べて、下着を選ぶ度胸はない。
ふんどし仮面に託けて土方への悪戯時では全く気にせず一人で購入したが、翡翠と一緒に入って買う事は出来ないようだ。
その様子を見ていた若い店員は、翡翠に声をかける。


「彼氏さんですよね、彼。カッコイイ〜。」


「っは、はい。」


「何で一緒に選ばないんです?せっかくだから彼好みの下着、買っちゃったらどうですか?」


「え?」


「色とか、デザインとか。」


「あの…着物ならともかく、何故下着を?」


「え?だって重要じゃないですか!自分の好みかでモチベーションが違うんですよ、エッチの時!」


「えっち?」


「へ?ちょ、やだ知らないんですか!?ありえな―い。」


翡翠の頭を過ぎったのは、先日の雑誌。


「あ、あの…つまり、女性が下着を見せる時があると…。」


「大きく分けて可愛い系かセクシー系かで分かれるんですけど、お客さんなら可愛い系?
これとか人気ですよー。」


店員が持って来たのは、白のフリルとレースたっぷりの上下。


「こ、これが下着です、か?」


「ほらっ姿見に合わせて!」


「あ、あの…!?」


店員は翡翠を姿見の前に来させて、ブラジャーを合わせた。
こんな下着を身につけた事のない翡翠は、顔を真っ赤にする。


「これでは着物を着るときに、くっ苦しいかと!」


「あ、じゃあシンプルにいきます?」


「そ、そうですね。シンプルなら…。」


「これとか!」



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