月日、空を飾る

□恋人という存在
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見せられたのは布が少ない下着。いわゆるTバックに、翡翠はくらりと目眩を覚えた。
ブラジャーも最低限の布しか無いどころか、透けているではないか。


(そ、それは着けている意味があるのですか…!?)


「あ、そうだ。サイズはおいくつですかぁ?」


「え、あ…その…」


「サイズはちゃんとしたのを選んだ方がいいですよ。なんならお測りしますねぇ。」


「!?いいですっいいです!」


「さあさあ!」


拒否も虚しく、翡翠は試着室に連れ込まれてサイズを測られてしまった。


「意外と着痩せするタイプですかー。」


「は、はあ…。」


「色は白とピンクと、ブルーがありますよ。彼氏さんに好み聞いてみます?」


「いえっ私は別に…!!ぁあの申し訳ありません!失礼いたします!」


「え?あっお客さぁあん!?」


耐え切れ無くなった翡翠は、売場から走り出す。血相を変えて出てきた様子に、携帯電話をいじりながら待っていた総悟は首を傾げた。


「翡翠?もう買えたのか…あり、手ぶら?」


「す、すみません…まだ…。」


「どうかしたのかィ?」


「あ、あの…っし、下着とは本来何の為にあるのでしょう…?」


「は?」


「っ何でもないです!すいません!申し訳ないですが、他のお店に行っても良いでしょうか!?
出来れば普通の店員さんがいらっしゃる、普通のお店で!」


「か、構わねェよ?」

(この店、普通じゃなかったのか…?つーか翡翠の慌てぶりがハンパねェし。

珍しいモンが拝めたなァ。)


翡翠の言う普通の店員さんがいる普通のお店だったかは不明だが、他の店に行って購入したものの翡翠は終始落ち着かない様子だ。
喫茶店で温かいお茶を飲んで、ようやく自然な笑顔になる。


(さっきはどうしたんだろうねィ…?)



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