月日、空を飾る
□恋人という存在
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喫茶店を出た後、二人は街を歩いた。そして公園のベンチに腰を下ろすと、翡翠は不意に口を開く。
「あの…。」
「ん?」
「不躾な質問をお許しください。総悟さんは…いえ、男性の方は女性の…その、肌を見たいものなのでしょうか?」
「!?」
ようやく相談してくれるかと思いきや、予想だにしなかった質問に総悟は目を剥いた。
翡翠も同じく顔を真っ赤にして続ける。
「し、下着のお店には、見せる為の下着というものがありまし…て。
屯所内にも、そういう写真の載った本が…。」
「……。」
動揺のあまり、答えるタイミングを逃してしまった。これでは何を言っても無意味。
いや、翡翠ならごまかせるだろうかという淡い期待を抱きながらも総悟はしどろもどろに答える。
「その…男っていうのは…そういうもんで…。
特に、惚れた女なら尚更…。」
「そう、ですか…。」
「っいや!だからと言って無理に見る気はねェから!
翡翠は…そういうのは気にしなくていいんでィ。」
「でも…っ私、知らないからそれでいいなんて都合が良く思えて…。
店員さんにも、ありえないと笑われてしまいました。」
「………。」
「私は…」
「翡翠はどうしたいんでィ?」
「え…?」
「確かに俺らは世間でいうお年頃のカップルにしちゃ、健全過ぎるだろうよ。
俺自身も正直、驚いてるくらいだからな。
今時のガキの方が、ませた関係だ。」