弐
□物でダメなら内容にこだわれ!
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それはある日の事。強奪してきた宝の山に群がる連中を眺めながら、神威は宝石の付いたネックレスを拾い上げた。
プラチナのチェーンに、イエローとオレンジ色の宝石が連なるネックレスをスーへと見せる。
「何か欲しいのがあったら、持っていったら?これなんかどう?」
「いいえ、私は結構です。それより、この星の土!なかなか豊かで、いい肥料になりそうなんですよっ!
薬圃に必要な分だけ、取ってきます!」
シャベルと麻の袋を握り締めたスーは、意気揚々と出ていく。
その光景を眺めながら、神威は首を傾げた。確かに自分も、金やそういうものに興味は無い。
だがスーは着飾るというよりも研究、調合優先だ。団員としてはバッチリなのだが、一人の女としてどうなのだろうか。
「前から変わってるとは思ってたけどさ。スーって、俺が知ってる女と違うタイプなんだよね。」
「まあ…光りモンより、土取る奴はそういねぇわなァ。
女は光りモン、ロマンチックなシチュエーションが好きなのが相場なんだがね。」
「え?焼きいもじゃなくて、栗なの?」
「マロンじゃねーよ、ベタ過ぎるボケはやめてくれ。素だったら俺ァ、どーすりゃいいのかわからんくなる。」
「うーん、実際スーが喜ぶモノってなんだろう。物だったら買えばいいから、簡単なんだけどな。」
「はぁー…いっそデートでも、行ってこいよ。」
「デート?」
「スーにとっちゃ、多分初デートのはずだ。お前さんら、したことねェだろ?
たいてい食糧補充やら、買い物だけなんだからよ。」
「買い物はデートじゃないの?」
「俺もよくは知らんが、デートにはプランがつきものらしいぜ?」
「プランかぁ…。」
「今度地球に行く時にでも誘えよ。飯も美味いし、デートスポットもあらァ。」