弐
□自分で撒いた種は、自分でなんとかすべし。
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「団長ー…ったく、どーこ行きやがったんだか。」
姿の見えない神威を、阿伏兎は探し歩いていた。
こうなったら奥の手。と、あらかじめ用意したスーお手製の肉まん(特大)を廊下に無造作に設置する。
こんなあからさまな罠、食いしん坊の神威しか引っ掛かる者はいないだろう。
物影から覗くと、早速肉まんを頬張る後ろ姿を発見した。
三つ編みに、特徴的なアンテナ。神威に間違いない。
「団長!どこ行ってたんだ!?」
「ふぉ?」
阿伏兎は物陰から飛び出すと、素早くその背後に迫った。
そして首根っこを掴み上げる。しかし、浮いた体に阿伏兎自身も驚いた。
「…は?」
(あれ?なんか、ちっちゃくね?)
首根っこを掴み上げられながら振り向いたのは、肉まんをハムスターみたいに頬張る神威…に瓜二つな七、八歳の少年だったのである。
「アンタ、誰?」
相手は大して驚いた様子もなく、引き続き肉まんを頬張った。
そんな信じ難い光景に、阿伏兎の額に汗が浮かぶ。
震える指を、小さな少年へ向けた。
「ハァアアアア!?」
「うるさいよ。おっさん」
「ガグフッ!?」
阿伏兎は、宙ぶらりんにされた少年に顎を蹴り上げられる。しかし、何とか持ちこたえた。
(ガキのくせにっなんて脚力だ!)