弐
□馬鹿と天才は、紙一重だった。【後編】
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あれから数日後。玄関に向かおうとした銀時に、ソファーに座る新八が声をかけた。
「銀さん、ちょっとお話があります。そこに座ってください。」
「…何?浮気を問い詰める妻か、お前は。気持ち悪いんだけど。」
真剣な新八をかわすように、銀時は茶化すがテーブルを叩いた神楽がそれを許さない。
「最近、毎日毎日どこ行ってるアル!
毎晩美味しい弁当くれる女の所に、入り浸ってるアルか!?」
どうやら最近、スーに栄養指導を受ける為に出掛けていることを訝しんでいるらしい。
ここで本当の事を言えば、新八はともかく神楽は怒り狂うだろう。
何せ幼い頃に行方をくらませた兄と、行動を共にしているのだ。
所在を確実に知っているスーを前にすれば、掴み掛かるに違いない。
「だーかーらー、何度も言ってんだろ?
知り合った奴の、好意なだけだって。お前らの分まで、用意してくれてんだぞ?」
「なら僕らにも、御礼を言う義務がありますよね。」
「いいんだって。俺がお前らの分も、ちゃーんと言ってっから。」
「貢がせるだけ貢がせて、後はポイアルカ。最低ネ!」
「人をどこぞのホストみたいに、言うんじゃねぇよ!
ああっもう俺、行ってくっから!
依頼が入ったら、ここに電話しろ!」
半ば強引に話を打ち切った銀時は、電話番号を書いた白い紙をテーブルにたたき付ける。
その場から逃げるように出て行った銀時に、二人は顔を見合わせた。
「…怪しい。」
「新八!あの天パにいれこんでる、女の子の目を覚ましてあげるネ!」
「裁判沙汰になる前に!」