弐
□喧嘩は場所を選べ。
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それは、ある日のこと。神威と阿伏兎は、穏やかではない空気を纏わせていた。
青筋を浮かばせた阿伏兎は、手にしていた傘の銃口を向ける。
その相手は、まさかの神威であった。
「もう怒ったぞっこのすっとこどっこいィイイ!!」
「俺は団長なんだよ?好きにしたっていいじゃないか。」
「上司(馬鹿)の尻拭いが部下の役目だと言ったが、諭すのも部下の役目だと気付いたぜ。」
「よかったね。一つ、賢くなったじゃないか。」
「やかましいわ!!おいたが過ぎたな、団長。
年長者の話は、しっかり聞くことを体に叩き込んでやらァ…!!」
「俺と、殺ろうっての?」
互いに傘を構えた二人。激しい打ち合いが始まり、弾き飛ばされた阿伏兎は体を捻って着地した。
それを追うように、神威が地を蹴って飛び上がる。
阿伏兎が蹴りがくると察した途端、ドアのノック音が耳に入ってきた。
それに気付いた阿伏兎は、慌てて神威に制止を訴える。
「!団長っ待て!!」
「今更、謝ったって遅いよ!肋三本は覚悟しなよねっ!」
「バッ違っ…!」
神威はてっきり、阿伏兎が謝るつもりで制止を訴えているのかと思ったのだ。
しかしその時、扉が勢い良く開いたのである。
「お二人ともっ何を騒いでるんですか!!」
「!?スー…!!」
「へ?」
飛び上がった神威の勢いは止まらず、ノブを掴んだままのスーの腕へと―…。
「あ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!?」