月日、空を飾る
□恋人という存在
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翡翠が掃除をしていた時の事、居間にあった箱を虎子が爪研ぎにしていた。
「まあ虎子さん!いけませんっ。」
慌てて箱を持ち上げた際に、蓋が開いて中の雑誌が飛び出す。
翡翠はすぐさまその雑誌を拾い上げた。
「ああ…早く直さないと、ん?」
無意識に開いたページに目を向ければ、若い女が真っ裸になったいやらしい写真。
「きゃあぁあああああ!?」
驚いて部屋を飛び出した翡翠は、自分の叫び声に駆け付けた原田にぶつかる。
「どうした翡翠ちゃん!不審者か!?」
「いえっあの…!じょ、女性が一糸纏わぬ姿で…!」
「なにぃいい!?」
居間を覗いた原田は氷づけになった本に驚きはしなかったが、それが隊士達が隠していたエロ本だと気付いて顔を青くする。
今までおばちゃんや全く気にしないお蘭の時は普通に放り出していたが、翡翠が来てからは隠すようにしていたからだ。
部屋で書類の処理をしていた土方が、煙草をふかせながらやってくる。
「おい、何の騒ぎだ。」
「ふ、副長…その…。」
原田からいきさつを聞き、翡翠が顔を赤くしているのを見るなり土方は苦い顔をした。
「如月。」
「は、はい。」
「あ―…まあ、男所帯だからなぁ…。」
「はい。」
「そういうもんも、あるわけで。」
「はい。」
「だから…その、なあ?いちいち驚いてたら仕事にならねぇぞ。」
「はい…申し訳ありません。」