弐
□固定観念って結構厄介。
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(いやいや違うよ、きっと別人だよ。よく見てみなよ私。長い髪の綺麗なお姉さんだ。
あれ?でも、女の人にしては筋肉質な…。いや!女の人でも鍛えれば、あれくらいなれるよ!)
「いくら普段周りの目を気にせず、セクハラとかしてこようと。
まさか、女湯に入ってくる程めちゃくちゃな人…なんだろうけど希望を捨てるな私!!
ちょっと筋肉質な、肌の白いお姉さんだ!うんっそうそう…たまたま居合わせただけ!」
(あれ?ていうか、今回貸し切り…だったよね。)
スーは、さらにもう一度振り返って目を懲らす。
(恥ずかしい話、ぶっちゃけ見覚えがある背中だし…。
髪の色とか、長さとか……頭のアンテナとか。)
「………。」
(イヤイヤイヤイヤァアア!十中八九どころじゃないよ、十中十だよ!
まさしく純度100%の神威だァアア!!何で女湯にいんの!?)
"じゃあまた後で。"
(いや、よく思い出せっ確かに男湯に入った!え?じゃあ、脱衣所は別で温泉自体は混浴!?)
「や、やばい…。」
(こんな、ねぎが鴨を背負って…じゃなかった。鴨がねぎを背負ってきた状況はまずい!
神威どころか、下手したら他の団員まで入ってくる!)
「夜中に入り直そう…。」
幸い、神威はまだスーには気付いていないようだ。脱衣所まで約六メートル。少し走ればいい距離である。
(行くぞ…っいっせーのぉ―…)
「何してるの?」
「でぇええぇえ!!?」