弐
□曲がり角でぶつかって、出会ったらまず印象が悪い。
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「"動くな"は貴様ッスよ。晋助様にぶつかっておいて、ただで済むと思ってんスか。」
額にあるものがわからないのかと強く突き付ければ、スーの瞳が女を捉える。
「…私、謝りましたよね?それでは済まないと?」
「っ!」
拳銃を突き付けても、スーは恐れを見せない。
女は殺気を映す瞳にたじろぐが、振り払うように声を上げる。
「晋助様の身を守るのが、私の使命ッス!例えぶつかっただけだろうが許さないッスよ!!」
「地球人ふぜいが…生意気な。」
「!!」
「来島。」
「スー。」
スーに銃口を握られ、驚いた女が引き金を引こうとした途端。
神威と今まで口を開かなかった"晋助様"と呼ばれる男が、二人を制すように名前を呼んだ。
動きを止めたスーの肩を、神威が掴む。
「はい。どー、どー。落ち着いて?」
「…ああ、面白くなるところだったのに。」
「それもいいけど、スーが怪我しちゃうでしょ?」
来島はスーが残念そうに離した銃口に、息を呑んだ。
煙を上げた銃口は、溶接されている。
あのまま引き金を引けば、どうなっていたか容易に想像できた。
「来島ァ、威勢がいいのは構わねぇが…。辺り構わず喧嘩を売るのは、関心しねぇなァ。」
「もっ申し訳ありませんッス、晋助様…。」
「まぁ、俺ァお前のそういう所も買ってんだがな。」