□自分で撒いた種は、自分でなんとかすべし。
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「はい。これで、ピッタリですね。」


体が小さくなった神威にとって、身につけていた衣服はだぼだぼだった。
スーはそれに対し、急ぎで神威が着なくなった古着の丈を詰めて子供サイズに仕立てる。
ちょうどいいサイズになった服を着た神威は、にっこりと笑った。


「ありがとう、お姉さん。」


「どういたしまして。それと、私の事はスーとお呼びください。」


「わかった。」


「あの…っその、差し支えなければ…!」


「何?」


「抱きしめさせてください!」


「うわっ!?」


そう言うな否や、飛び付くように抱きしめるスーに神威は身じろぐ。


「苦しいよ、スー。」


「可愛いーっ神威様、可愛いぃいいー!」


「俺っ男なんだけど!」


(スーがメロメロになってらァ…。)


「私が命に換えても、お守りいたします!」


「おいおい、お前さん。団長だった時よりも、忠誠心があるんじゃねーか?」


「何を言ってるんですか!従者は、主を身をとして守るべきもの。
衝動に駆られません!?守らなきゃって!」


「顎に強烈な蹴り、入れられたけどな。」


つまり、反則的に強い神威に守られることが多いスーは、従者として負い目を感じる事があった。
そんな時、ちっさい神威を前にしたスーは思ったのである。
"今ならば、自分が守る事が出来るはず。"その忠誠心は大いにくすぐられ、大興奮しているのだ。

目を輝かせているあの様子が、何よりの証拠である。


「とにかく!成長途中ですが、骨格を見る限り神威様に間違いありませんっ!
玖珠呪族の名にかけてっ必ずや元のお姿に戻してみせます!

ご安心を!」


一人盛り上がっているスーに、神威は阿伏兎を見上げた。


「ねーオッサン。このお姉さん、よくわかんないんだけど?」


「せめてオジサンといいなさい。それからあのお姉さんは、最早職業病だ。」



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