弐
□喧嘩は場所を選べ。
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阿伏兎の肋三本を折るつもりだった神威の蹴りは、見事にスーの腕の骨とドアを粉砕した。
ドアと一緒に吹っ飛んだスーに、二人は駆け寄る。
壊れたドアの破片を払いのければ、床にうずくまっているスーを見付けた。
「スー!何で間に入ってくるの!?」
「好きで入ったわけでは…っ。」
「おいおい間が悪いな!大丈夫かよ!?」
「ちょっと、お二人とも。私がKYみたく言わないでくれません?
こんな室内で、夜兎同士が乱闘始める方がKYなんですからね…!
大体大袈裟ですよ。腕の骨くらい、どうってことありませんから。」
そう冷静に告げるスーの肩はぷるぷると震え、瞳はうるうるだ。
「馬鹿っ強がってるんじゃないよ!目ェうるうるじゃないか!
本当ごめんね!?」
「ああ…尺骨と撓骨(肘から小指と親指側にある二本の骨)が粉々…っ。
痛くないよー、痛くない痛くないですもんウフフフッ。」
私はやればできる子だもんとか言い出す。さすがに骨折は気合いでどうにもできないだろうに。
心身ともにボロボロなスーに、神威は阿伏兎へと叫ぶ。
「阿伏兎っ病院!」
「気持ちはわかるが、ここは宇宙の真っ只中だ。」
「だったら、病院のある場所に行けよ!」
「落ち着け、団長。いつもスーに手当してもらってたが、うちにも医務室はある。」