弐
□仕掛けるからには、仕掛けられる覚悟を。
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「いらっしゃいませ、一名様ですか?」
「はい。」
「申し訳ありませんが、只今店内大変混み合っておりまして。
相席でも構いませんか?」
普通ならば相席は避けるべき。他の客がいれば、満足に監察はできないからだ。
しかし、今は何の計画もないぶっつけ本番。
さらにリスクは高いが、相手の警戒を緩めることもできるかもしれない。
「はい、いいですよ。」
「ありがとうございます。では、ご案内いたします。
こちらへどうぞ。」
よしっウエートレスさんナイス!そっちは窓際の席だ。遠くても、席さえわかれば問題な…っ。
「こちらにおかけください。」
「どうも。散らかってますけど、お気になさらず。」
ウエートレスさんんンン!!!
「あ、少し片付けますね。」
「す、すいませーん。お勉強中に。」
ちょ、ターゲット目の前ェエ!!空気読めよ!
何で、明らかに勉強してる人に相席頼んでんだ!
そこに一人で、日替わりランチ食ってるサラリーマンがいるだろうが!!
ま、まずいぞこれは。監察対象との接触は、監察にとって御法度だ。
いや負けるな退。潜入捜査を思い出せ。どんな浪士相手にも怪しまれず、溶け込んだ地味さを発揮するんだ!
今回も彼女にとって、ただ偶然ファミレスで相席になった人とだけ認識されればいい!
むしろ記憶に残るな!!