月日、空を飾る
□義賊気取りの変態泥棒
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局長の部屋に幹部三人が集まり、総悟からの報告に近藤は握り拳を作った。
「翡翠ちゃんもフンドシ仮面の被害に…っ許せねぇ!」
「近藤さん。またモテない男の勲章が、懐からこぼれ出てますぜ。」
隊服のジャケットから見えているピンクのパンツに、気付かれた近藤は慌てて隠す。
「!?ち、違うぞ!ほどこしパンツなんかじゃないんだから!」
「そうなら、アンタを現行犯逮捕しなきゃなんねぇんだが。」
「うえ!?あ、ゔ…ほどこしパンツです…。」
「そういう土方さんは、どうだったんですかィ?」
総悟の言葉にピクリと反応した土方は、ギロリと睨んだ。
「また…テメェの悪戯じゃねぇだろうな…?」
「"また"ですかィ。生憎俺ァ、それどころじゃねぇんで。」
「クッソ…!」
実は今朝。総悟はせめてもの憂さ晴らしに、枕元にあった所有者不明のパンツを土方の部屋に投げ込んだのである。
「翡翠が盗まれたのは全部で4枚。これをどこかの変態の手に渡る前に、取り返さなきゃならねぇんでさァ。」
「取り返すったって…その後どうすんだよ。」
「もちろん。焼却処分しやすが何か?」
「いや…。」
「とにかく。もう一度翡翠ちゃんに、詳しく話を聞かんとな。」
「鼻血垂れ流してる時点で、何を詳しく聞きたいか丸わかりなんだけど。」
「下着については俺が聞きやしたんで、ノータッチですぜ。」
「え…あ、そう…。」
目に見えて肩を落とした近藤を無視して翡翠を呼び出せば、本人は盗まれたことをさして気にしていない様子だ。
「如月…お前、気持ち悪いとか思わねェのか…?」
「え?あの…男の方が女性物の下着を盗んで、どうするのかは不思議ですけど…。」
何故かと促すような目に、男三人は目を逸らした。
「やめてっそんな純粋な瞳で見ないで!!」
「ん…まあ、お前は気にしてねェみたいだが盗みは犯罪だ。だが、屯所は夜中だろうが門番はいる。
ふんどし仮面か断定するためにも、何か変わったことはなかったか?部屋にあったんだろ?」
「あ、もしかしたら…。」
「!何か心当たりある?」
「夢かと思ったのですが…」