幻想の詩
□〜第一章〜
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名も無きとある世界ーーー
遥か昔、この世界には四神がいた。
すなわち、玄武、百虎、朱雀、青龍である。
『地』の玄武は命の苗床である陸をつくり、
『火』の朱雀は命を育てる気温をつくり、
『水』の青龍は命の源である種をつくり、
『風』の白虎は命を還す天をつくった。
人々はそんな四神を敬い、崇めてきた。
が、時代を経るごとに、人々は四神の恩恵を当たり前のものと思うようになり、更にはよりよい環境をつくる為に、四神を捕らえて世界をつくり変えようとする動きまで出てきた。
各国は四神を求めて争い、四神は人間に失望して天へと帰ろうとした。
その時、まだ恩恵を忘れていなかった者達が団結して争いを止め、四神を説得した。
それに心を打たれた四神は、世界に留まることにし、人間に力を授けた。
これが、『奇天』である。
そして、その者達には片割れと言えるほどの力を預けた。
このことは、預けられた者しか知らないーー。
そして、この出来事から500年近い歳月が流れた。