shortstory
□なかなか手強かった
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「――お前さ、ひょっとして星奏か?」
彼の掛声が、私と彼の初めての出会いだった。
―――
「あ、また出た」
「出たとかおま、人をゴキブリと同じような表現で言うのやめてよね」
「はっ、なんだよその言い方は。俺にわざわざ会いに来るためにここまで来たんじゃないの?」
「何言ってんだか!その、自惚れってやつ?や、やめてくんないかな?め、迷惑なんだけど」
「その割には顔赤いし口ごもってるけど?」
そう言って彼――衛藤桐也は私に近づいた。近い!近いって!!!
「ち…近いんですけど…///」
思わず目を逸らした。
「…なぁ、ピアノ弾けよ」
な、何いきなりすぎない?わけわかんない…
「いや、でもすぐ用意できないし…」
「すぐそこにピアノの専門店あるからそこで弾けよ。…ついてこい」
そう言って衛藤桐也はさっさと歩いていった。
これ…今帰ったらあの人絶対怒るよね…仕方ないなぁもう…
そう思いながらついていった。