4章
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「シュリ起きて、王子たち来たみたいだよ」
肩にもたれ掛って眠っていたシュリの頭をなでていた手を止め、視線を闘技場入口へと向けるカノン
『うん・・・おはようございまぅす』
「手助けは?」
『別にいいんじゃないかなぁ。
あの中の誰が戦うことになってもあの・・・なんだっけえーっと・・・』
「キルデリクです」
『そうそうキルデリク。より強いと思うし』
気配無くいつのまにか後ろに立っていたドルフになにも反応しない2人。
最早気配を消すくらいでは2人の不意はつけないらしい。
「それで君は、ここに何しに来たの」
「サイアリーズ様より“クレハ”様へ伝言を預かってまいりました」
『・・・なんて?』
「“あんたの事だから逃げないんだろう。私の代わりにあの子たちの事を頼むよ”と」
自分の事は良いのかよ、と心の中で思ってしまったカノン。
ドルフからの伝言を聞いて少し考えるように下を向いていたシュリだが、何か思いついたのか、
カノンに何か耳打ちしている。
『・・・、とか』
「あーうん」
『というわけで、ドルフ。これ渡して?サイアリーズさんに』
ぽん、と渡されたのは小さな、1mmほどの石。
持って行く工程で若干なくしそうな不安感が生まれている。
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