4章
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「おや、姫様。どのようにこちらまで?」
表面的にはニッコリと笑ってはいるが、内心は絶対正反対の事を考えている
あくまで表情は笑顔で聞いてくるギゼルにリムスレーアは馬鹿にしたような顔で
「歩いてに決まっておろうが。そんなことも分からんのか。
それにわらわがこのように無理をしてでも部屋を出たのは、どうしても自分で確かめねばならんことがあったからじゃ」
「ほう?」
「少々この部屋から全員出て行ってもらいたい。もちろんミアキスもじゃ」
「それを承知するとでも?」
一歩も引かない両者の駆け引き
リムスレーアがギゼルへ向けるのはいつもの憎いものを見る様な睨んだ視線では無く、上に立つ者としての意志の強さを含んだ視線
数十分にも感じる時間の間両者は一度も視線を外さない
「・・・良いでしょう。ただし外から何か異変を感じればすぐに扉を開けます」
「それでよい。ミアキス、外で待っておれ」
「はぁい」
先に引いたのはギゼルの方だった
条件を付けて部屋から出て行く
閉じられた扉から視線を外し、像の額に宿る太陽の紋章へと向き直る
そこで待っていたのは今では懐かしく感じる・・・・・・