4章
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「しっかしすぐに寝ちまったなぁシュリ」
「俺が太陽宮で回収した欠片はまだ返せてないしな・・・」
「きっと疲れちゃったんだよ」
これはファレナへ戻るための船の上での会話
キリルは甲板の手すりへ座り、テッドはもたれかかっている
そしてカノンは眠ったままのシュリを膝に乗せて座り込んでいる
シュリは洞窟の中で一度目を覚ましただけで、すぐにまた眠りについた
「ねぇ2人とも」
すやすやと眠るシュリを微笑みを浮かべながら見ていたキリルがふと思い出したように2人に声をかける
「なんだ?」
「2人がシュリちゃんを起こした瞬間に凄い風が洞窟の中に入って行ったんだけど、知ってる?」
「風・・・?」
風
シュリが目覚めた時の魔力の波を外にまで出さないようにカノンとテッドの2人が抑えてはいたものの、やはりというか力が足りなかったのだ
それで洞窟の外にまであふれ出そうになっていたのだが
外で待っていたキリルに当たりそうになっていた瞬間、暴風とも言えるであろう強い風があふれ出ていた力を洞窟の中へと抑え込んだのだ
「気付いてなかったんだね」
「風、なぁ・・・」
つい先ほどの事を忘れるほど記憶力が無いわけではない
テッドもカノンも記憶にないようだ