gensui

□少女の傍らには風の少年
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ティルが軍師であるマッシュの要望でシュリを本拠地へ連れ帰ってから、暫く注目の的になっていた


「まだ全然集まってないんだねぇ」

「ま、出来たばかりの組織だし。あいつも厄介な紋章を継いだもんだ」

「寂しがりやなんだよ」


広間にある石版の前に立っているルックと、その隣に置かれた椅子に座って石版を眺めているシュリ
椅子はシュリの要望によりルックが態々持ってきたものであり、少なからずルックと話したことがある人たちはそれはもう驚いた


「ルック、シュリ。ちょっと一緒に出掛けて欲しいんだけど、いい?」

「はぁ?またな訳?」

「今度はどこに行くの?仲間集めに?」

「いや、今回は資金集めの貿易中心」

「そんな事もしなきゃいけないなんて、大変だねぇ」


兄様の時はしてたみたいだけど
2人に話しかけて来たティルの方を見ると、後ろにビクトールを連れている
モンスター討伐なら納得の人選なんだけど


「今すぐ?」

「出来れば」

「じゃあ行きますか。4人で?」

「ちょっと行って帰って来るだけだし、ゴツイの連れて行ったら悪目立ちするでしょ?」

「「あぁ・・・」」


2人そろって憐れむような視線をビクトールに向け、言った張本人であるティルは良い笑顔を浮かべている


「お前らな・・・」

「でも荷物持ちは要るんじゃない?僕重いの持つのやだよ」

「そういえば荷物持ちの事考えてなかった。やっぱりビクトール着いて来て」

「はぁ!?」

「私は別に持っても良いけど」

「女の子に重いもの持たせるわけには行かないでしょ。じゃあ行くよビクトール」


意気揚々と船着き場へ向かうティルと、呆れてため息を吐きながらもティルに着いて行くビクトール
残されたルックとシュリは目的が貿易なら簡単な準備だけで良いだろうと自室へ向かう


「ビクトールより私の方が力持ちだと思うんだけどな」

「シュリ姉さんが持つくらいなら僕が持つし。多分あいつはシュリ姉さんの正体知っても態度は変わらないと思うけど」

「へぇ。私だったらこき使うけど」

「だろうね」

「でも歴代天魁星って皆どこかしら黒いよ」

「カノン兄さんもフレイも容赦無かったしね・・・」


いくら鍛えても筋肉が付きにくい体質だったらしいルックは、見た目バッチリ魔術師で後衛
実態は双剣を主に飛び道具などなんでもござれなカノン兄様と、打撃武器万歳なフレイに鍛えられたルックは前衛で戦える位には強い
けれどもそれを制限しているのは私自身


「そういえば兄さん達にあそこから出てここにいるって伝えた?」

「言ってないけど?」

「・・・うわぁ」





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