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□鏡の中の幻影
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 ダークマインドは大きくのけ反り、既に体力が限界だということを見せた。
「シャドー!」
「うん!」
 カービィとシャドーカービィは二人でマスターソードを握り、ダークマインドにとどめを刺す。
「でぁぁぁ!」
 ダークマインドの瞳に、マスターソードが深く刺さった。

 体力の限界がきたダークマインドは小さく震えだし、やがて小さくなってゆく。


 そして、上空へ逃げ出した。


 ***


「みんな、起きて!」
 カービィの声に、倒れていた赤カービィ達が起き上がる。
「う……」
「ダークマインドが逃げ出した、追い掛けるよ!」
 カービィはワープスターを呼び出し、それぞれ乗るように促した。
「はい、マキシムトマト。これで体力を回復して?」
 シャドーカービィが全員にマキシムトマトを差し出す。
 シャドーカービィがいることに、赤カービィ達は驚いたようだった。
「なんでシャドーが、」
「それは後で! 今はダークマインドを追い掛けるよ!」
 だがカービィの声で、我に返る。
 カービィ達はワープスターに乗ると、逃げたダークマインドを追って上空へと飛び込んだ。
 シャドーカービィは地上に残り、祈りを注ぐ。
「鏡の国を守って――、カービィ」
 それは、平和を願う祈り。


 上空にたどり着いたカービィ達は、ダークマインドを撃墜していた。
 何度もダークマインドの攻撃を避け、何度もダークマインドに星を当てる。
 ダークマインドは足掻き、しつこく攻撃してきたが、四人相手には敵うわけがなかった。
 カービィが放ったワープスターからの星が、ダークマインドに激突する。


 そして――、ダークマインドは、やがて消滅した。


 +++


 空から沢山の星が降り注ぐ。

 その中での、別れの時が近付いていた。
「君は何故、僕らの味方になったの?」
 カービィが問い掛けると、シャドーカービィは困ったように笑った。
「僕は、君の分身だからね。きっと君と同じ"正義感"があったんだろう」
 シャドーカービィは、本当はカービィと同じ思いを持っていたのだ。だが、ダークマインドの命令を実行しなければならなかったことや、自分がカービィの影であると思っていたからこそ、カービィ達を始末しようとした。
 だが、途中で気付く。
「誰かを傷付け合うなんて、僕は嫌だったんだ」
 シャドーカービィの言葉に、カービィ達は不思議そうに目をしばたたかせた。
 シャドーカービィは、にっこりと笑う。
 わかっていないだろうが、それでも別に構わない。
「シャドーカービィはこれからどうするの?」
 緑カービィが、シャドーカービィに質問した。
「――鏡の国は、僕が守るよ」
 シャドーカービィはしっかりとした、強い意思を含んだ声で断言する。

 カービィは、その言葉に嬉しそうな表情で頷いた。

「シャドーカービィ」
 シャドーカービィの手を取り、小さく振り回すと、カービィは笑う。
「バイバイ」
 大きく手を振って、彼らはワープスターに乗り込んだ。シャドーカービィもワープスターに乗って、見送るために飛ぶ。
 ディメンションミラーが、ゆっくりとカービィ達の下へ降りてきた。
「僕たちは、仲間だからね!」
 カービィはそう笑い、シャドーカービィに手を振った。赤カービィ達も、別れを惜しむように手を振り、笑う。
「うん!」
 シャドーカービィも、笑顔で手を振って、見送る。
 カービィ達は、ディメンションミラーに入っていった。やがて、ディメンションミラーが何処かへ飛び立ってゆく。メタナイトが追い掛けるように羽ばたいていった。ディメンションミラーの羽が宙を舞う。


 こうして鏡の世界を巡る冒険が、幕を閉じた。




――END―

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