小ネタ集

□まるマ
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 ――痛い、と感じるのと同時に気持ちいい感覚が襲ってくる。


「ん……っ!」
 びくり、と思わず反応すると、ユーリは俺の首筋を強く吸って、それから軽く口づけた。ユーリはにやりと笑って妖しく見上げてくる。
 その微笑みは正に吸血鬼。
 ゾクリ、とする程彼は美しく見えた。きっとこれも夜だから。月だけが、俺達の禁じられた行為を見ているからなんだろう。
 真夜中の教会は静まり返っていて、スタンドガラスの模様が床に綺麗に映っていた。見えるのはそれぐらいで、あとは暗闇の中で、俺達の影だけが動いている。
「……っ」
 血を吸われるのは、もちろん痛い。だが、それは最初だけ。後はもう快感ばかり。だから俺は、幾度か重ねたこの行為に夢中になっていた。まだ少し、慣れてはいないけれど、ユーリだって優しくて美しくて、大好きだから。だからこれが禁忌だとしても、俺はもっと、と求めてしまう。
 ユーリは吸った後を舌でなぞると、今度は服を開けさせて、胸の飾りに口をつけた。快感に身を震わせたおれに、ユーリは笑う。
「ユーリ……っ!」
 ぐぐっとユーリの体を抱き寄せて、もっと快感を求めた。本当ならば、こんな行為はいけないはずなのに。

 ――神などいない。だが俺は此処にいる。永遠にな。

 そう言った、あの人の言葉を信じているんだ。この時だけは。

 どんなに汚れても、貴方が好きなんだ。許されなくてもいい、そう、貴方が愛おしいから――、俺は。


 幾度も禁忌を重ねていく。
 貴方がいる限り、永遠に。




―END―




UP...2009.11/1

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