小ネタ集
□まるマ
3ページ/7ページ
ループする衝動
憧れと、そしてその間にある感情。
伝えられたら、と考えて首を横に振った。それを伝えたら今の関係が無くなってしまう。迷惑を掛けてしまう。いつの間にか芽生えた恋情は伝えることなく、いつまでも胸の中にしまっておくつもりだった。
だけれど、彼を目の前にすると鼓動が高ぶる。想いを伝えたいと思う。抑え切れないと何度思ったことだろう。
「上達したな、アルフォード」
微笑む彼に、胸がぎゅっと掴まれるような感覚を覚えた。
「ウェラー卿には程遠いです」
もちろん、剣の腕のことだ。それだけ。
恋情が貴方へと向いていることを、貴方は知らないのでしょう。
想いを伝えたら、貴方に届くだろうか?
爽やかな笑顔を見る度に何度も何度も湧き上がるこの衝動をぐっと押さえた。
何もかも程遠い。距離は近くても、想いが届くことはない。
END
初UP……2010.8.19