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□片思いは両思い
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ユ一リ、あなたには将来を約束した人がいる。その人からあなたを奪うわけにはいかないよ。
「ごめんね、ユーリ。」
「……悲しくなんて、ないよ。」
笑っていても、悲しそうな表情。
ごめんね、ごめんね、一ごめんね。
これは合図。恋と別れるための。
「悲しくなんて、ないから。振られても、さ。」
覚悟はしてた、とユーリは笑う。
そのー言で、悲しくなるのは、どうして?
泣きそうだったから顔はうつむいたまま、見せようとしないで。何も言わず、ユーリの言葉を聞いている。
「ユーリ。」
あぁ。
こんなに悲しいのは、どうして?
分からない。でも、これだけはわかる。
(ユ一リ、あなたが好きだよ。)
「ごめんな、コンラッド。」
風が止んだ。
木の葉がーつ、地面に落ちた。
「でも、それでも好きだよ。」
小さく呟いた言葉は、彼に届かず、蒼い空に吸いこまれていく。
END
→あとがき