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□そして青年は血に染まる
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たとえそれが死の宣告でも、俺たちはそれをあえて選ぼう。
「いよいよだな。」
ヨザックが重々しく告げる。それを聞いた幼なじみは「それこそ栄光だ」、と言うように笑って見せた。
その笑みはもう幼い頃の彼とは違う、どこか皮肉るような笑みで。獅子と呼ぶには相応しい、凛とした笑み。ーーそして、全てに絶望したような、瞳。
そんな彼を見るたびにヨザックは苦しくなる。
どうして、守ってやれなかったのだろう?
地位なんて関係ない。この青年を守るんだ、って、そう強く思ったはずなのに。どうして、こんな。
今はもう冷たい声、冷え切った瞳、閉じられた心。
もう、手遅れだ。
「何を老えている?」
「いえ、なぁんにも?」
冷たい瞳がこちらを睨みつける。
「嘘を。何か考えていただろう?」
ずっと一緒にいたからこそ、彼はすべてを見透かしてしまう。肩をすかして、ごまかしを入れた。
「隊長は大丈夫かな?って。思ったんです。」
「はぁ?何を言ってるんだ、お前は。」
さすがに呆れた返事が返って来る。それは当たり前だろう、彼は剣によっぽどの自信があるのだから。
だけど。あんたはあまりに脆いから。
(心配ぐらい、させてくれ。)