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□蕩けるぐらいの愛情表現?
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 口に飛び込んで来たのは甘くてほろ苦い――……眞魔国にはほとんどない、あの甘菓子の味。
 青年は驚き、敬愛する主人を仰ぎ見た。主人――ユーリの方は笑って、
「びっくりしただろ?こっちじゃチョコレートなんて全然見ないもんな」
なんてまるで悪戯に成功したことを喜ぶ子供のような、無邪気な笑顔を見せる。
 びっくりしたのと幸せな気持ちに、コンラートも自然と笑顔になった。
「ユーリ」
 思いっ切り強く抱きしめて、髪に頬を擦り寄せる。
「今年は『逆チョコ』ってのが流行してるらしいんだ」
 自慢するように、地球での流行を話すユーリ。コンラートがそっとおでこにキスを落とすと、くすぐったそうに笑う。
 コンラートに立ったまま抱きしめられていたユーリは、勢いをつけてコンラートの横に座る。ベッドのスプリングがぎし、と軋んだ音をだした。
「コンラッド、ごめんな。今日一日中無視しちゃって。手作りで作ってみたんだ、グレタと一緒にね」
 二人が一生懸命厨房に立つ姿を想像して、コンラートの頬が緩んだ。
「ちゃんと出来たかは不安だけど、受けとってくれよ」
 綺麗なライオンズブルーの可愛らしい小包をコンラートの手を取り渡して、ユーリは微笑む。
「ユーリ……」
 ギュッと壊れないように両手で小包を包み込み、コンラートは頷いた。
「大事に食べさせていただきます、ユーリ」
 銀の星が散った瞳を細めて、コンラートは微笑んだ。今度はユーリがコンラートを抱きつき、胸の辺りに頭を預ける。
「なぁコンラッド、コンラッドからはチョコじゃなくてさ――……」
 耳元で囁かれたユーリの無邪気な言葉に、コンラートは動揺した。身体の温度が少し上がった気がする。
「ユーリ、今のはなしでっ」
 断ろうとした間にはぎしり、とベッドのスプリングが大きく鳴って、ユーリがコンラートの体に馬乗りしていた。
「それと、そのチョコだけど」
 ユーリはにっこりと天真爛漫な笑顔を見せる。
「今、一緒に食べちゃおうか」
 コンラートの手から包みを取ると、紐を解いて一つチョコを口に含んだ。
「……ユーリ」
 優しくキスをされて、抵抗する気力が無くなる。
 キスはコンラートが口を薄く開いたとたんに深くなった。以前までユーリは恥ずかしがって積極的ではなかったけれど、最近は随分積極的なってきた気がする。
 甘いのはチョコレートだけではなく、貴方がしてくれる愛情表現も甘くて――……溶けてしまいそうだ、なんて。
 今は恥ずかしくて言えそうにはなかった。




END


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