小ネタ集

□大切な相棒
1ページ/1ページ




 手にした星屑は煌めく。夜空を照らす月とともに、静かにだけれど儚く強く。



「君は本当にそのカードが大事なんだろうな」
 そう言って身体を乗り出した十代は遊星の首に腕を絡めて遊星の持っているカードを見つめた。
「オレも大切なカードはいっぱいあるぜ。えっとハネクリボーにネオス、ネオスペーシアンたちにオレのE・HEROたち、それから……ユベル」
 絡まれた遊星は困ったような表情で十代を見つめたが、表情は穏やかで怒っているというわけではない。彼は静かながら力強い声で十代の言葉を肯定した。
「えぇ、オレにとってこのカードは……大切なものなんです」
 遊星にとって、仲間とのそして父との絆の証であるカード。幾度もの激しい決闘を共に乗り越えてくれた、大切な相棒。そっと撫でる手つきは優しく、大事にしていることがよくわかる。十代はそれがとても嬉しくて微笑む。きっとスターダストも主に大切にされて嬉しいだろう。
 ふざけている十代は遊星の首をさらに締め上げた。もちろん手加減はしてあるが、遊星からは抗議の声が上がる。だけれど十代はさらに身体を乗り出して遊星を苦しめた。無邪気にも。
「じ、十代さん」
「へへ、お前のシンクロ召喚とオレの融合どっちが強いか早く決闘したいぜ!」
 今度はいつ会えるのだろうかと十代はワクワクしているようだった。それを止めるのは悪い気がして遊星は口をつぐむ。十代は後ろから思いっきり体重を掛けているがそのおかげで体制がつらい。
『十代、そろそろ放してあげたらどうだい?』
 遊星号に腰を掛けたユベルが呆れたような声を出すまで、二人はその体制のままでいた。ちょうどイベントのエキシビションマッチを終えた遊戯が二人のもとへ歩いてくる。
「遊戯さん!」
 嬉しげな十代に苦笑しながらも遊戯は寄ってきたファラオを撫でた。ファラオは嬉しそうに遊戯の足に頬を寄せる。
「お疲れ様です、遊戯さん。先程のデュエル、参考になりました」
「流石遊戯さんだよな!」
 肩を組んだままの二人に遊戯は「二人とも仲がいいね」と笑うと隣に並んだ。







2011.9/25

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ