小ネタ集

□あけおめヨハ十
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※若干十代が乙女






「明けましておめでとう」
「あぁ、今年も宜しくな!」
 にかっと歯を見せて笑った十代はやはり可愛い。ヨハンは微笑み返しながらもその手を優しく握った。十代が不思議そうに見上げてきたのをやんわり流し、初詣へ出掛けようと促す。
「もう行くのか?」
 いそいそと靴を穿きながらも十代が聞いた。
「早めに行った方がいいだろ? 家でゆっくりしたいしな」
 そう返したヨハンに「ふぅん、まぁそうだな」と十代は頷いたがヨハンの顔を見て少し不満げな表情をする。
「ヨハン、なんだよその格好」
 ヨハンといえば、まるで女の子のようにフリルのついた私服で出掛けようとしていたのである。DAにいた頃も袖にフリルのついた服でいたが、まさか私服までこうとは十代は思ってなかった。
「ダメか? 十代こそ、もっといい服ねぇのかよ」
 十代も十代で、DAの制服ではないにしろ少し地味な服だったのだが、十代はヨハンの方が気になるようで少々大袈裟にため息を吐いた。どちらにしろ、二人ともセンスがないらしい。
「べつにいいじゃんか」
「変! 絶対変だって!」
 十代は頑固にも首を横に振るばかりで、ヨハンは困った。
「十代」
 真剣な声音で名前を呼べば、十代は顔を真っ赤にして言葉を詰らせる。
「頼むよ、なぁ」
 ヨハンが懇願するように顔の前で手を合わせるのを見て、十代は視線を外した。
(まるでどっかの王子様みたいだから他の人に見せたくないんだよ! ばか)
 そんなことを思われてるとは知らずヨハンはギュッと十代の手を再び握る。
「十代、手冷たくなってるぞ」
 ふわり、と笑うヨハンに十代はついに何も言えなくなった。
「うぅせめて上着だけでも変えろよ」
 初詣へ行くのにもこんな恥ずかしくなるなんて。
 顔が真っ赤な十代に首を傾げながらも、ヨハンは悩んでから仕方なく頷いた。このままでは十代が熱でも出してしまいそうだ。
 そんな十代の顔を見れるのももしかしたら自分だけの特権かもしれない。そう思ったらたまにはフリルだらけでもいいかもしれない、と思った。





2012.1/2


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