小ネタ集

□結局君には勝てない
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 ゆったりとした時間が流れる部屋。ベットに腰を下ろしていたコンラートはパソコンに向かいなにやら夢中になっている勝利を見た。大学のレポートが締め切りに近いらしく、先ほどからキーボードを打つ勝利の手が休まることはない。
 そんな勝利の様子にそっと部屋を退出し、コンラートは階段を下りた。
「よし、これでいいだろう。さぁようやく新作をでき……、コンラッド?」
 そうして数分が経ち、レポートを終えた勝利が体を伸ばしているとドアが開いた音がした。机にお茶の入ったコップが置かれたと思えば後ろから首に腕を回させられる。回してきたコンラートは「お疲れ様、勝利」と微笑んだ。
「お茶を淹れてきてくれたのか」
 最初こそいけ好かない奴だと思っていた勝利だが、付き合っていく内にこういったコンラートの気配りの出来る面にも引かれていき今では恋人同士という関係である。決して自分はゲイだとかではないと勝利は思っているが、彼のことを好いていることを否定するつもりはない。
「ありがとな」
「いいえ」
 腕を放したコンラートはもう一度微笑んでみせた。それが裏のないものだとわかれば勝利の顔が赤くなる。
 自分はコーヒーを手にコンラートは机に寄りかかった。パソコンの画面をちらりと見て関心したように呟く。
「大変ですね」
「ま、学生は勉強に勤しむのが勤めだからな。都知事になるまでは仕方ないさ」
 勝利の返しにコンラートは部屋の天井を見上げ、何か考えているようだった。
「では貴方が疲れたときはいつでもお茶を淹れてあげますね」
 少し経ってから唐突に笑顔でそう言ってコンラートが手を握ってきたので勝利は椅子ごと後ずさる。コンラートがあまりにも幸せそうな表情で言うものだから思わず照れてしまった。
「勝利?」
 なんて奴を好きになってしまったのだろう。そんな表情をされてしまったら、ますます好きになっていくではないか。
 いつだってって、眞魔国にいるときはどうすんだ、と頭は混乱していたがしかし勝利は無意識に頷いていた。



2012.6/4 twitterでのリクエストSSです。


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